ガラリと変わった暮らし
実家を出てからというものの、僕の生活はガラッと変わった。実家を売却することが決定しいよいよ僕の居場所はなくなる。短絡的な考えを持つ僕は、ひとまず家があって働ける場所を探そう、そう思い立ってある会社へ就職した。したはいいものの、僕に関するセンシティブな出来事は全て隠して入っていたため、罪悪感がものすごくあった。仕事もうまく続く見通しもなく、その状況に耐えられなくなり辞職することになった。
この出来事は神奈川県で起こり、今は埼玉県に居住を構えている。家自体は支援者さんの好意でそれなりの物件を用意してもらえたので、とても快適に暮らしている。とはいえ、家だけしかないので家具は揃っていない。仕方なしにまた借金を重ね、なんとか準備ができた。そのおかげもあってか、家に関していえば何不自由ない生活を送れている。
今まで実家でのうのうと暮らしていた分、一人暮らし始めてわかったことも多い。食費の節約やいかに安く抑えて生活の営みを送れるかなど、考えることが多くなった。30代になってそういった考えになるのは遅すぎることはわかっている。本来ならは20歳過ぎ、早ければ10代のころからその思考に至ることもあるだろう。いわゆる「こどもべやおじさん」だった僕にとっては、ある意味何もかもが新鮮だった。自分の城を構え、親の重圧やプレッシャーを受けることもなく過ごせる。それはとても自分にとってはありがたい。
ただ、1人でいるということは寂しさや孤独が伴う。僕には友達がほぼいないので、一日中ぼーっとして過ごすこともザラにある。創作活動は好きだが、ギターはまだ実家にあるし、そのほかについては手付かずだ。なによりもお金がないので、実家に帰る交通費もない。これから1週間は年金が入るまで1円も使えない。けっこう人生をサバイブしている感覚はある。お金はないが、幾許かの希望と、ほんの少しの情熱だけは兼ね備えている。
明日はB型の事業所に見学に行くことになっている。そこではグラフィックデザインを学ぶ予定だ。今後自分が生きていくについて、ずっとずっとやりたかったクリエイティブなことができる。そう思うと心が躍る。いままでそういう学校に行ったわけでもなければ、独学で学んだこともない。ある意味こういった状況にならなければ為し得なかったことかもしれない、と思うととても有意義な挑戦になるんではないと感じている。ゆくゆくは自分の裁量で、尚且つ自分の好きなことで生きていける未来を想像しながら、明日は楽しもうと思う。