ハシモトメロ
18年間を共に生きたロシアンブルーの男の子、藤乃(ふじの)との記録です。
ふじのが家に来てからしばらくの間、私は彼を女の子だと思っていた。 何故なら私は以前から動物を飼うなら女の子と決めていて、ブリーダーさんにもその希望を伝え、「この…
ふじのにはひとつだけ、致命的且つどうしようもない欠点があった。 布の上でおしっこをするのが大好きなのだ。 これは想像以上に困ったことだった。 私がいる時は、私に怒…
ふじのはとても臆病で、健気な優しい猫だった。 家のピンポンが鳴ると一目散に物陰に隠れ、入ってきた人をじっと観察した。 だが、ふじのの人見知りは長くもたない。 どっ…
ふじのが家に来て間もなく、私は風邪をこじらせて肺炎になった。 せっかく猫と仲良くなろうという期間だったのに、こともあろうに、猫は咳をするもの=敵と判別をするらし…
今から18年前の事。 東京、日野にある豪勢なマンション街の一室で、私は1匹の猫と出会った。 「女の子が欲しいんです」 そう言った私の前に、小さな身体で小さな声で、ミー…
2023年12月25日 20:47
ふじのが家に来てからしばらくの間、私は彼を女の子だと思っていた。何故なら私は以前から動物を飼うなら女の子と決めていて、ブリーダーさんにもその希望を伝え、「この子が女の子です」と言われてもらってきた子だったから、疑う余地も無かったのだ。ふじの(藤乃)の名前の由来は、私の故郷である湘南・藤沢の「藤」と、女の子の名前の中で1番好きな「乃」という止め字を組み合わせてつけた。最初の頃はふじのちゃん、
2023年12月24日 22:11
ふじのにはひとつだけ、致命的且つどうしようもない欠点があった。布の上でおしっこをするのが大好きなのだ。これは想像以上に困ったことだった。私がいる時は、私に怒られるのをわかっているので我慢する。しかし、私がいなくなると、こっそりと忍ぶように、ベッドやソファ、カーペット、放置していた服、ありとあらゆる布に粗相をする。独特の匂いがするので、したことはわかるのだが、どこにしたのか探すのがまず一
2023年12月23日 20:01
ふじのはとても臆病で、健気な優しい猫だった。家のピンポンが鳴ると一目散に物陰に隠れ、入ってきた人をじっと観察した。だが、ふじのの人見知りは長くもたない。どっかいっちゃったなと思いながら訪問者と話していると、気が付いたら足音もたてず訪問者と私の真ん中にちょこんと座っている。大抵はびびって隠れてから、ものの数分後のことだった。ふじのはとにかく私の上が好きだった。テレビを見ている時、ゲー
2023年12月22日 21:02
ふじのが家に来て間もなく、私は風邪をこじらせて肺炎になった。せっかく猫と仲良くなろうという期間だったのに、こともあろうに、猫は咳をするもの=敵と判別をするらしい。当時、私の部屋が兼用でふじのの部屋だったので、ふじのは約5日間くらい、咳をし続ける敵と同じ部屋で過ごす羽目になってしまった。物陰に隠れてミーミーと鳴くその姿は、かわいそうと同時に必死すぎて可愛く、笑えてきた。私はふじののことを、
2023年12月21日 20:45
今から18年前の事。東京、日野にある豪勢なマンション街の一室で、私は1匹の猫と出会った。「女の子が欲しいんです」そう言った私の前に、小さな身体で小さな声で、ミーミーと鳴くその子が現れた。後に男の子だったと判明する前、私はその子に「藤乃(ふじの)」と名付け、現在に至るまでの18年という月日、命を共同し生きてきた。元々私は幼少期から、猫と、猫の中でもロシアンブルーという品種に大層な憧れを