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映画『SHE SAID』感想

『SHE SAID』をAmazonプライムで。
監督はマリア・シュラーダー

【あらすじ】
ハリウッドの大物映画プロデューサー・ハーヴェイ・ワインスタインの長年にわたる性暴行と陰湿な口封じについて地道に取材を続け記事を公開し、あの世界を揺るがす#metoo 運動のきっかけを作った、NYタイムズの記者2人の実話。殆ど実名で描かれていて、実際に被害に遭い告発していたアシュレイ・ジャッドが本人役で出演している。

【感想】
今さらです。今さら。そしてやっぱりすごく良かった。 辛いのは分かっているので少しずつ後回しにしてたのがこのざまだ。ばかやろうだ。もっともっと早く観ておけば良かった。

辛いのだけど、最後にはこの動きが#metoo に繋がり、本当に世界を動かしたことを存分に知ってるからもう、ぞわぞわ〜のカタルシスがすごい。
 派手な画面はまったくなく、全編がほぼ地味な取材シーン。なのにこの緊張感。

ハーヴェイを映さず(おまえなんかは映す価値なんざねーんだという意気込みが素晴らしい)、実際の性暴力シーンは一切なく(決して性的に消費させないという意気込みが素晴らしい)、被害者の話や音声録音だけでそのおぞましさを表現する手法、最後に至るまで小気味良いテンポの脚本(なのに決してぞんざいにしない、取りこぼさないという意気込みが細部に感じられて)なにもかも上手くいってると思う。後半はもう(感動の)涙でした…。

上司がかっこよい。主役二人のヘアやファッションもすっごくいい。 キャリー・マリガン、ドライヴとか未来を花束にしてとかドクターフーの名作回とかでめっちゃ好きだった女優さん。でも今作でまたもっと好きになった。見た目はそんなに変わらないのに、ベテラン記者の貫禄がその目からにじみ出てる。良かった。

こんな映画が製作・発表されること自体すごいことなのに、エンタメとしてもとんでもなく良い出来で、ちょっと日本とは別惑星にある国なのかしらと思った。だけどアカデミー総スカンは納得いかんわなぁ。

製作に入ってるブラッドピットが以前ワインスタインに噛みついた話とか、どこかで聴いてへぇーとか、他にも裏話は山ほどあるのでしょうね。原作読んでみたい。

そしてこの映画、冒頭はトランプの性被害を記事にしたにも拘わらず当選を許し、嫌がらせを受けたキャリー・マリガン演じる記者の挫折・絶望体験から始まっている。 全編通してトランプの失敗を繰り返すなというNYタイムズの記者たちの気合いを感じるし。 彼がふたたび台頭しつつある今、改めて広く知られるべき!映画だと思う。 面白かった〜!『スポットライト』とか好きな人ぜひ。


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