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映画『雪山の絆』感想。壮絶の極みだけどストレスはゼロ。

Netflix映画『雪山の絆』を自宅鑑賞
監督・脚本・製作はスペインのJ.A.バヨナ。実話ベース。

【あらすじ】
1972年、ラグビー選手団を乗せてチリに向かったチャーター機、ウルグアイ空軍機571便は、アンデス山脈中心部の氷河に墜落するという大惨事に見舞われました。乗客45名のうち生き残ったのは16名のみ。世界で最も過酷な環境のひとつに身を置くことになった生存者たちは、生き延びるために究極の手段を取らざるを得ないことに…。

公式ページより

【感想】
通常のディザスターものと違うのは、主人公たちが「ラグビー選手チーム」ということだろう。生き延びる力がきっと、一般人より強い。意図的なのかどうか、全編通して自分が生きるために小ずるく立ち回る人が出てこない。そういう意味での辛さやストレスはゼロ。(そんな映画ある?)

そこだけで言えばとても自分向きなのだけど、いやいや、降りかかる現実はこのタフな人達を、これでもか、これでもかと襲い続ける。あまりの壮絶さにもう声が出なくなる。

描写がとんでもなくリアルで、観ている間「これどうやって撮ったんだろう…」という疑問が全然湧かなかった位。ドキュメンタリーとして観ていたのだろう。でもこのチャーター機には選手達の家族も乗っていて、その中での子どもたちの描写はほぼない。乗っていなかったのか、意図的なものなのか(なんにしてもここに子供が居るなんて、無理!)。

あまりに辛すぎて「ああこれは無理だ…」となったので、先に最後を観て、安心してから戻って再開した位だ笑。それ位、自分にとってはキツかった。

壮絶でリアル。アンデスの山中のシーンはその場にいるとしか思えず、映画館だったら凍えきっただろう。メイクも美術もすごい。


観終わった後に「これはメイキングを観ないとやってられない」と思ったら、Netflixにありました。
このメイキングがまたすごい。本編はあまりに辛すぎて泣くどころではない映画だったけど、メイキングで泣いた…。実際の当事者も何人か出演している。

かなり事実に寄せようとした作りらしく、キャストはほぼ全員が無名新人。オーディションの基準は「いかに本人に中身が近いか」だった。ちなみに皆ハンサムガイばっかりなんだよ。

過酷な山中ロケの実際。あの、悪夢に見そうな雪崩シーンが、どのように撮られたかも分かる。

監督J.A.バヨナがキャスト&スタッフを「良いモノを作る喜び」へと連れて行く、その手腕・人間力に感服する。
Netflixの財力なけりゃまー撮れない内容だけど、お金があるだけじゃとても無理、ってことも良く分かるメイキング。

本編とメイキング、セットで観るのがお薦めです。
(今年のアカデミーでは国際長編映画賞とメイクアップ&ヘアスタイリング賞にノミネート)

2024/04/08

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