映画『ハッピー・オールド・イヤー』ネタバレ感想
『ハッピー・オールド・イヤー』をNetflixで。
2019年タイ作品
今PFFで大特集を組まれているタイのナワポン・タムロンラタナリット監督作品
宇多丸氏inアトロクの推しがきっかけ。
『ドライブ・マイ・カー』に続いてこんな傑作が観られるなんて。大好きな作品がまた増えた。
同監督作品は初見。主演のチュティモン・ジョンジャルーンスックジンは『バッド・ジーニアス』の主演の彼女(製作スタジオも同じGDH559)。抜群のスタイルと佇まいが醸す独特の空気感は今作でも存分に発揮されていて、大好き。今後もチェックしたい。
撮影・照明がすげえスタイリッシュ。アングルと編集だけで見ていられる位だ。 ずっとジーンを支えるお兄さんが凄くいい。こういう立ち位置の素敵な兄妹がいる作品って大抵お気に入り。記憶力ないのでぱっと思い浮かばないんだけど、たとえばシング・ストリートのお兄さんとか。
あとジーンの親友で恐らく建築家?のスキンヘッドの彼女も。彼女の一言一言、ジーンと一緒に染み入りました。
【以下少しネタバレあり】
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ストーリーが進むにつれて、この家族には昔父親との悲しい断絶があったことが分かってくる。ジーンの母親はその記憶が込められたピアノを未だに捨てられない。「モノと思い出」という誰しも経験する問題から、母親とジーンは対立する。父を忘れたい兄妹と、忘れたくない母。
長らく断絶していた父にジーンが電話をするシーン、ずっと無音のロングカット。しかも観ている時は、その意味が分からない。後から分かる。忘れがたい。
元カレとのあれこれ。過去の思い出シーンは一切流れず、写真で断片的に見えるだけ。あとは会話から察するしかないのだけど。人と接する時に誰しも覚えがあるすれ違いや忸怩たる思いなどが…、優しくかつ冷静で、なんと言ったらいいんだろう…澄んだ目線で語られる。このあたり、カメラと編集がお見事。実に映画的と言うか。
ジーンと自分が被る。しかもこの時期、すべての自信を失い「今までの人生自分は何をやっていたんだ」と絶望しかねないこの時期に、こういう映画に出会うのはなんというタイミングだろう。 良く分かった。やっぱり自業自得・自然な流れだったんだよな…。 まだ間に合う。できることをして、そしてなんとか生きていかなきゃ。
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