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私の大事なことば①            「釣りは、釣れない時こそ面白がれ」

20代半ばで、鳴かず飛ばずの
山育ちのダメアナだった私を救ってくれたのが
「釣れて満腹駿河湾」だ。

釣りジャーナリストの盛川宏さん(故人)と
釣り初心者のけいこちゃん=私が
静岡県内に住む皆さんと
駿河湾の魚を釣って食べまくるという
バラエティとドキュメンタリーの要素を盛り込んだ
Kディレクター渾身の!番組だった。

念願のアナウンサーになって
人もうらやむ?全国放送のキャスターという役割を
与えられたものの

「個性を出せ」と言われてもそんなものないし・・・
技術を磨いても「伝わらない」と言われ
転職(教員になろう)も考え始めていた頃で

そんな私を、何とかしようという
Kディレクターの想いもあったのかもしれない。

船の上では、本当にたくさんのことを教わった。

釣れるか、釣れないかは
釣りの技術や経験もさることながら
とはいえ、自然が相手だし

盛さんが、手を変え品を変え
餌を変え!?釣るための策を講じる隣で
コツコツ基本を守りながら釣り糸をたれる
ただただ一所懸命の私に幻の魚が釣れたり!
街を歩いていてもおじ様たちから
「おう、釣れてるか」と声がかかることもしばしばあった。

番組はおかげさまで人気が出て
全国放送にまでなったけど

何より、心に残っているのは
盛さんが船の上で教えてくれたことだ。

「釣りはね、釣れない時こそ

 面白がれるかが、大事なんだよ」

ああ、人生もそうだなぁ、って思ったんだよ。
釣れない時、上手くいかない時も
前を向いて笑っていれば
きっと、うまくいく。

ならば、アナウンサーとして
もうちょっと、頑張ってみようかって
思えたんだよね。

社会人になって2度目のピンチ
子連れ転勤で東京支社に行ってすぐ
盛さんの訃報が届いて、泣いたなぁ

もう一回、一緒に、釣りに行きたかった
でも、番組じゃなかったら・・・
私、船酔いしてたかもね。

30年前だけど・・・
盛さんの「ことば」は
私のピンチを救って支えてくれる
大事な大事な「ことば」です。


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