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アルツハイマー型認知症・会話の内容に変化【認知症ケア実践】【ミッケルアート回想法】

 今回は、ミッケルアート回想法によって、利用者様の会話量が増え、他の利用者様と昔の話をするなど、活動にも意欲的になられた事例について紹介します。 この事例は、ミッケル研修の認知症ケア力を高める「LOVE LOVE研修」を受講された方の修了レポートがベースとなっております。 

1、ミッケルアート回想法・実施前の状況


A様の情報
・年齢   70代
・性別   女性
・要介護度   要介護度1
・認知症の種類 アルツハイマー型認知症
・自立度    Ⅱb
・寝たきり度  A1

趣味はママさんバレー、お菓子作り、野菜作り。65歳ごろから物忘れが目立ち、病院で治療を始めた。その数年後にデイサービスリハビリセンターを利用。服薬管理のため訪問介護を受けている。住宅生活が困難であると判断し、グループホームに入居。
 

2、ミッケルアート回想法実施の概要

* 実施期間…3か月
* 取り組み内容…週2回、一回あたり20分程度、ミッケルアート回想法を実施
* 工夫した点…質問に対し返答に困る場面が多々見られたため、クローズドクエスチョンで「まずはこれ」というのを本人に絵を選んでもらい、そこから話を広げた。
* DBD13スケールを使用

3、4ヶ月間の変化


・開始前の2週間の様子:
 問題解決に対して消極的で、自力では難しいと感じている姿が見られました。また、帰宅願望もありました。
 塗り絵の内容を理解することができず、同じ色で塗ることもありました。
 この期間で、適切な説明や職員の働きかけが必要であることがわかり、声かけを通じて、患者のニーズに応えるアプローチが重要であることを感じました。
 
・ミッケルアート回想法開始から1ヶ月目の様子:
 1ヶ月が経過した段階で、初めは理解が難しいと感じていた利用者様も、絵を通じて間違い探しを楽しむ姿が見られました。
 また、利用者様が自ら答えることが難しい質問においても、手助けをすることで理解が深まるケースも見られました。
 
・開始から2ヶ月目の様子:
 利用者様の興味が広がり、普段から絵に関する会話が活発化しました。
 また、利用者様が自分で解くのは難しいと感じる問題に対しても、近い答えを提示することで解決の喜びを感じる姿が見受けられました。
 
・開始から3ヶ月目の様子:
 利用者様のコミュニケーション能力が向上し、日常生活への積極的な参加が増加しました。
 また、他の職員から、「絵を通じた回想が利用者様の自己肯定感や生活満足度を高めている」「認知症の症状の軽減にもつながった」という報告がありました。
 
・4ヶ月目の変化:
 最後の1ヶ月間は、ミッケルアートを実施せず、普段の様子を観察させていただきました。効果の維持についても懸念がありましたが、多くの利用者様が絵を通じた経験を振り返り、その効果が維持されていることが確認されました。
 この結果から、ミッケルアート回想法が認知症ケアに有効であり、その効果が持続することが示唆されました。
 

4、まとめ「職員自身の気づき」

 今後は、食事後や体操後に他の利用者が居室に戻ると、利用者が帰りたいと感じる心境になることを考慮し、声掛けを工夫したいと思います。
 まず、Aさんと仲の良い利用者と協力して、Aさんが不安にならないような環境を提供したいとの考えています。
 また、積極的に手伝いに参加する利用者が不安な表情や行動を見せる場面があることあるため、利用者にさまざまな仕事を提供し、自分のできることや興味のあることに取り組ませることが重要だと考えています。

【事例提供元、「ニコニコタウンきいれ」様】

 この法人様では、新人職員の方のために、認知症ケアのスペシャリストになるための3年間の養成プログラムが用意されています。
 勤務して3年目には介護福祉士受験対策講座が用意されており、3年間の実務経験を経て介護福祉士の国家資格を受験することができます。
 また、イスラエルの企業と新しい認知症ケアに取り組むなど、まだまだ語りきれないチャレンジを積極的にされています。
ニコニコタウンきいれ様のホームページはこちら⇩
 https://kiire.jp
 
このような事例を通して、職員様の一人ひとりの関わり合いは、利用者様の日常を変えることに繋がると感じます。
福祉の現場で働く皆様の気づきになれば幸いです。
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