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インド瞑想記1:インドに呼ばれた。

「インドに呼ばれる」とは旅好きのあいだでよく聞かれる言葉だが、ほんとうだった。思いがけず呼ばれた理由は、南インドに位置するハイデラバード郊外で開催された「10000 for world peace(世界平和のための1万人集会)」(2023年12月29日〜2024年1月13日)に参加するためだ。このイベントは、古代インドの聖典・ヴェーダに由来する瞑想法のTranscendental Meditation(略してTM。超越瞑想)の実践者が1万人集まって瞑想し、世界に調和の波を作り出して平和をもたらそうという目的で開催された。

 インドに行きたいと思ったことはなかったし、瞑想で世界平和が実現できるかどうかもわからなかったけれど、1万人も集まって瞑想するのはおもしろそうだと思った。TMは海外セレブのあいだでも人気だから、有名ミュージシャンが来てライブをしてくれるかもしれないし、財団まで設立して普及活動をしているデヴィット・リンチはきっと来るだろう。世界中に友だちができるかもしれないし、なんなら将来の伴侶も見つかるかもしれない。

 宿泊先も興味深かった。ホテルではなく、会場の敷地内にあるドミトリーか、新たに建設予定のテントから選べるという。ドミトリーはともかく、テントには惹かれた。写真を見る限りモンゴルのゲルに近い外観で、広さは30平米、ベッド、お湯の出るシャワー、洗面台、トイレ完備とある。非日常的な空間でパソコンから離れてたっぷり休息を取り、静寂に包まれてこれからについてゆっくり考えられたら、人生が変わるのではないか。周りは2倍速の動画のようなスピードで変化していく中、もう20年くらい同じ踊り場にいるような毎日が、今度こそ進み出すのではないか。そんな期待もあり、参加を決めた。

 いくつかのプログラムがあり、わたしが希望した上級テクニックを学ぶプログラムは誰でも参加できるわけではなく、審査があった。落ちる人もいる中、申し込み期限を過ぎていたし、健康診断書の提出などちょっとしたハードルもあったが、するすると審査に通ったのは、やはりインドに呼ばれたのだと思う。
(つづく)

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