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終活のポイント -相続が争続にならないために-
皆さんは「終活」と聞くと何を思い浮かべるでしょうか。
私はまず「親が、自分が亡くなった後にどうしてほしいかを整理しておくこと」だと思いました。このように、終活は元気なうちにさまざまなことについて整理しておくことがまず挙げられます。そして、どのように自分らしく死に至るかの環境を整えるという意味もあるようです。
今回は相続アドバイザーである今井絵美さん(株式会社MOCIAS)の就活セミナーを受講しましたのでその内容についてご紹介します。
健康寿命は思ったより短い
健康寿命とは、日常的に介護を必要としないで、自立した生活ができる生存期間のことを指す言葉で、世界保健機構(WHO)が策定した概念です。
この健康寿命から平均寿命までの期間はいわゆる「寝たきり」の状態である期間と言えますが、女性は寝たきり年数は12.06歳、男性は8.73歳あります。
ちなみに、2019年の女性の健康寿命は75.38歳、平均寿命は87.45歳。男性の健康寿命は72.68歳、平均寿命は81.41歳。
ですから、平均寿命はまだ先だし終活と言ってもまだやらなくて大丈夫だと思ったら大間違い。健康寿命が終わるということは認知症になっている可能性もあります。ですから、健康寿命に達するまでにさまざまな整理をしておく必要があるのです。もっと言えば、人はいつ何があるかわからないもの。40代、50代から準備しておいても早い過ぎることはないでしょう。
どんなことについて整理する?
終活は、次のようなことについて整理しておきます。
医療
介護
保険
相続
葬儀
墓(供養)
これらは親についても言えますし、自分の準備としても言えます。このようなことの整理は、「エンディングノート」などに書き留めておくことが便利です。エンディングノートはさまざまなものが発行されています。本屋やネットで入手できます。
相続が争続にならないように やってはいけないこと
相続の問題がこじれて親族間、兄弟間がこじれて争続になってしまうのはとても悲しいもの。オープンに情報を共有し、普段からコミュニケーションをとることが大切です。一つの隠し事が将来、大きな問題に発展してしまうこともしばしばるようです。
今井先生は、やってはいけないこととして次の5つを挙げてくれました。
介護しているんだから少しぐらい親のお金を使ってしまおう
遺言書を無理やり親に書かせる(勝手に修正したり捨てたり隠したりしない)
他の兄弟に相談せずに勝手に不動産の名義変更をする
財産を隠す(全部開示しない)
相談・施策の先送り
ポイントを押さえておこう
1. 元気なうちに財産管理をしておこう
財産委任契約
家族信託
任意後見
成年後見
民事信託や家族信託を活用して、親や自分の気持ちを保存しておくことが大切なようです。
2.介護をする家族に形を残そう
生前贈与
養子縁組
遺言
生命保険
介護は重労働にもかかわらず、なかなか形に残らないもの。もし兄弟が親の介護をしてくれていたら、形に残る何かをしておくことが争続を防ぎます。
3.早期に専門家に相談しよう
もし身近に弁護士など法律家がいれば、一度相談を。早く取り掛かることが大事です。もし身近にいなくても、今井先生のような相続アドバイザーが親身になって相談にのってくれます。
まずは診断を
今井先生は、まずは無料で診断してくれるとのこと。もしエンディングノートを親に一通り書いてもらったら、それを見てもらうと良いでしょう。先生が気になるところや、ケアしておくべきところを指摘してくれるそうです。
終活は、健康寿命が終わった後はなかなか思い通りに進まないもの。認知症になってしまったらなおさらです。40代になったら親の終活、50代になったら自分の終活にも意識しはじめることをお勧めします。