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【劇評254】女方が揃った『輝虎配膳』。幸四郎、錦之助が役者の大きさを見せる『石川五右衛門』

 よい女方が三人揃わないと出せないのが、近松門左衛門の『輝虎配膳』。〝三婆〟のひとりで、毅然とした品位が求められる越路、琴の名手で敢然たる気風を見せるお勝、細やかな気づかいを見せる唐衣。
 魁春の越路、お勝の雀右衛門、唐衣の孝太郎が、それぞれの持ち味を見せて、観客を飽きさせない。

 信玄と輝虎の確執を主題に、戦国時代の女性を描いているが、それぞれが強い意志を持つ。この芝居に爽快感があるのは、男と男の対決ではなく、女性の果たしてきた大きな役割を鮮明にしているからだろう。

 反面、名将とされる輝虎(芝翫)は、給仕役を務めたかと思うと、自身の身分を明かすが、その計略は、越路にはねつけられる。しかも、大胆に輝虎が配膳した膳部を足蹴にする。今回の魁春は、決然とした花道の出から凜とした空気をまとっている。膳部の件りのあとも、心を乱さない。まことに知力、胆力にすぐれた越路であった。芝翫の輝虎は、威風堂々。幸四郎は、直江山城守を神妙に見せる。

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年々、演劇を観るのが楽しくなってきました。20代から30代のときの感触が戻ってきたようが気がします。これからは、小劇場からミュージカル、歌舞伎まで、ジャンルにこだわらず、よい舞台を紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。