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【劇評370】サイモン・スティーブンスのダブルビルが立ち上げる悪夢に満ちた世界。

 世界は暴力にあふれている。

 私はNHKBSのワールドニュースを毎日録画している。時間を作って、西欧諸国ばかりではなく、周辺の国のニュースも見る。そこにある映像や視点は、まさしく多様であり、連続して観ると大国のごまかしなど霧散する。問答無用の現実が突きつけられる。 

 近年、少なからず、パレスチナやガザ地区の現状を踏まえた舞台を観ることが出来た。単に政治的、社会的な告発に終わらぬ作品もあった。けれども、現在進行形の戦争について、演劇が果たす役割について突きつけられた。演劇でなければ、表現できない戦争や暴力とは何かを考えた。

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年々、演劇を観るのが楽しくなってきました。20代から30代のときの感触が戻ってきたようが気がします。これからは、小劇場からミュージカル、歌舞伎まで、ジャンルにこだわらず、よい舞台を紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。