【劇評家の仕事4】中谷美紀の『オフ・ブロードウェイ奮闘記 』を読んで。
書くのをやめないこと
演劇評論家と名乗り続けてきました。そのためには、批評を書き続けることが必要で、書くのをやめたとたんに、この職業名は捨てなければいけないと思って来ました。
女優の李礼仙は、別冊新評の『唐十郎の世界』(昭和四十五年)に収録されたインタビューのなかで、好きな言葉は?と問われ「女優でいたければ、芝居をやめないこと」と答えています。この言葉がなぜか私に取り憑いていて、評論家も同じことだと思い定めてきました。
また、「女優として気をつけるところは?」という問いには、「体ですね。もちろんいろんなものを、自分自身の感性をわりと新鮮に保つということは、わりと意識はします。でもまず体ですね」
感性も大事だが、まず体というのは、観客の視線にさらされる俳優だからかもしれません。けれども、おおよそ、あらゆる仕事は、体が起点にあるのだと思います。
年々、演劇を観るのが楽しくなってきました。20代から30代のときの感触が戻ってきたようが気がします。これからは、小劇場からミュージカル、歌舞伎まで、ジャンルにこだわらず、よい舞台を紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。