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【劇評176】緒川たまきのコケットリーと高田聖子の胆力。ケラリーノ・サンドロヴィッチのコメディを観て。

 久し振りにコロナウイルスの脅威を感じることなく舞台に接した。少なくとも、休憩がはさまるまでは、舞台に引き込まれて現実を忘れた。

 ケラリーノ・サンドロヴィッチ作・演出の『ケムリ研究室 no1 ベイジルタウンの女神』が、世田谷パブリックシアターで上演されていた。上演期間のほとんどは、客席を半減しての上演だし、劇場入口での検温や手洗い、半券の処理も他の劇場と変わらない。

 それにも、かかわらず、劇がはじまったとたんに、私たちは、この架空のベイジルタウンに飛んで、乞食たちの楽園へと遊ぶことになる。

 こうしたファンタジーが可能になったのは、KERAの劇作は、いい意味で荒唐無稽であることを怖れていないからだろう。

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年々、演劇を観るのが楽しくなってきました。20代から30代のときの感触が戻ってきたようが気がします。これからは、小劇場からミュージカル、歌舞伎まで、ジャンルにこだわらず、よい舞台を紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。