【劇評334】東のボルゾイの『ガタピシ』は、きしむ音をたてている私たちの心をえぐり出す。
アルベール・カミュは、こんなことを書き残している。
「私にとって演劇はまさに文学的ジャンルの最高峰であり、いかなる場合も最も普遍的なものだからです。私は作者や役者に「客席にいるただ一人の馬鹿者のために書いてくれ、演じてくれ」といつも言っている演出家と知り合いになり彼を好きになりました」
(カミュ、東浦広樹訳『私はなぜ芝居をするのか』)
日本独自の価値観に基づいたミュージカルを創り出す。この積年の夢に劇団『東のボルゾイ』は、果敢にも取り組んできた。
これまで観てきた作