【劇評261】奇跡が、見えない壁を作ったのか? イキウメの『関数ドミノ』。
老いや生のありかたについて、探求を続けてきた前川知大とイキウメが、代表作というべき『関数ドミノ』を上演した。再演から八年を隔てているが、この作品が持つ構造に導かれるように、一気に観て飽きなかった。
二○○九年、一四年の上演は、前川による作・演出である。今回は、演出を一新し、台本にプロローグとエピローグが追加された。このふたつの場面は、安井順平が演じる真壁薫によるモノローグである。観客席にしみわたるような言葉と身体だった。イキウメが演劇に対していかに真摯に立ち向かっている