【劇評243】包容力のある菊五郎の工藤。父の教えを愚直に守る巳之助。そして、千尋の谷を上がってきた千之助。
九月の半ば、帯状疱疹という病気に罹患した。
発熱と激痛に襲われて、一週間はほぼ寝たきりで過ごした。そののちも、患部の治りが遅く、毎週皮膚科に通った。また、困ったことに、鈍痛と電気が走ったような痛みが残ったので、二種類の強い痛み止めが手放せなくなった。劇場通いもままならず、厳しく辛い日々が続いていた。
歌舞伎座も十月はなんとか痛みを押して観た。
十一月になっても痛みは治まらない。
困ったことに、強い痛み止めは、眠気を誘う。十一月吉例顔見世大歌舞伎の第二部は、六日に観