あの蜷川幸雄でさえ、野田秀樹戯曲に手こずり、のたうち回った『パンドラの鐘』をめぐって。七枚。
野田秀樹の戯曲を他の演出家が上演したとき成功例がほとんどないのはなぜか。
長年、疑問に思ってきたけれども、明解に言葉にできずに時間ばかりが過ぎていった。
シアターコクーンで上演されている『パンドラの鐘』(杉原邦生演出)を観て、いくつか考えることがあったので、書き留めておく。はじめに断っておきたいのは、この原稿は、杉原演出についての劇評ではない。また、その演出を貶めるために書くのではない。
今回の上演は、演出家蜷川幸雄の七回忌を祈念したNINAGAWA MEMORIA