十二代目市川團十郎 追悼文 2013年2月3日歿
巨星墜つという言葉がふさわしい。歌舞伎界を代表する役者が、まさしく円熟期に失われたことは重大な損失で、目の前が暗くなる。
十二代目市川團十郎は、十一代目の実子で、昭和二十一年に生まれた。美貌で知られた父の芸を受け継ぐ間もなく、昭和四十年に高校生で父を失っている。菊之助(現・七代目菊五郞)故・辰之助(三代目松緑を追贈)とともに三之助と呼ばれたが、若年にして後ろ盾がいなくなった当時、新之助の苦労は並大抵ではなかったろうと思う。
昭和四十四年に、十一代目市川海老蔵を『助六