勘九郎と勘太郎が踊る『連獅子』によせて。泉鏡花の小説から。
勘九郎と勘太郎が踊る『連獅子』は、親子ならではと思う。十八代目と勘九郎、十七代目と十八代目を観てきたけれど、中村屋ほど、親子で踊ることの愉悦を感じさせる『連獅子』はみつからない。
泉鏡花の小説に『朝湯』がある。
お能の世界を扱った小説を鏡花は、いくつも書いている。『歌行燈』は、久保田万太郎の巧みな劇化もあって、もっともよく知られている。『朝湯』もまた、お能の家で不始末をしでかした男と芸者の色恋を描いている。
もっとも、私の関心は、この芸者の旦那十内と、大先生の豆