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天才と名人 中村勘三郎と坂東三津五郎

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今もあふれる悲しみ。『天才と名人 中村勘三郎と坂東三津五郎』(文春新書)を書くことになったのも、私にとっては宿命だったような気がしています。いつまでも忘れられず、記憶のなかで生き…
ふたりの天才と名人のことが今でも、こころから離れません。『天才と名人 中村勘三郎と坂東三津五郎』(…
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#中村勘九郎

「三田文學」秋季号に、勘九郎の『髪結新三』の悪、その色気について書きました

 「團菊爺から勘三津爺へ」と題して、雑誌「三田文學」に時評を書きました。ご想像の通り、早…

長谷部浩
4か月前
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鶴松がお光を勤める『野崎村』。勘三郎の思い出。

 猿若祭二月大歌舞伎。もう十三回忌となるのか。墓参りは欠かさないようにしているが、今も、…

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長谷部浩
1年前
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【劇評286】觀玄改め、八代目新之助の『毛抜』は、荒事の本質に届いていた。

 堀越勸玄は、ひとかどの役者へと進み始めた。  十二月の歌舞伎座は、八代目市川新之助襲名…

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長谷部浩
2年前
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【劇評237】勘三郎が演じていない役を、勘三郎のように演じてみせる勘九郎。七世芝翫…

 懐かしい演目が歌舞伎座にあがった。  北條秀司の『お江戸みやげ』は、十七代目勘三郎のお…

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長谷部浩
3年前
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【劇評224】勘九郎、七之助、松也が作りだすドラマの余情。串田和美演出の『夏祭浪花…

 活き活きと呼吸する人間として、ひとつひとつの役を見直していく。  串田和美演出・美術の…

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長谷部浩
3年前
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【劇評210】勘九郎、七之助による追善となった『猿若江戸の初櫓(さるわかえどのはつや…

 歌舞伎には、寺社が設立された経緯を構造として組み込まれている演目がある。『摂州合邦辻』…

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長谷部浩
4年前
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勘九郎と勘太郎が踊る『連獅子』によせて。泉鏡花の小説から。

 勘九郎と勘太郎が踊る『連獅子』は、親子ならではと思う。十八代目と勘九郎、十七代目と十八代目を観てきたけれど、中村屋ほど、親子で踊ることの愉悦を感じさせる『連獅子』はみつからない。  泉鏡花の小説に『朝湯』がある。  お能の世界を扱った小説を鏡花は、いくつも書いている。『歌行燈』は、久保田万太郎の巧みな劇化もあって、もっともよく知られている。『朝湯』もまた、お能の家で不始末をしでかした男と芸者の色恋を描いている。  もっとも、私の関心は、この芸者の旦那十内と、大先生の豆

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【劇評207】十八代目勘三郎が勘九郎に乗り移った『連獅子』。十七代目勘三郎三十三回…

 一見、関係ない話から始める。  二○○七年の三月、パリオペラ座で市川團十郎、市川海老蔵…

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長谷部浩
4年前
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『野田版 桜の森の満開の下』の劇評。シネマ歌舞伎のDVD化を記念して。

 4月7日(水)に、シネマ歌舞伎『野田版 桜の森の満開の下』のブルーレイ、DVDが発売されると…

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長谷部浩
4年前
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勘九郎と七之助、五代目菊五郎ゆずりの覚悟。勘太郎、長三郎の巡業出演について。

中村屋の錦繍公演は、私たちの世代にとっておなじみだ。コロナウィールスの脅威によって、昨年…

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長谷部浩
4年前
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雨交じりの午後、勘三郎の命日に、勘九郎と七之助の活躍を墓前に報告した。

 歌舞伎座の第一部、第二部を見終えて、入谷の西徳寺へ回る。  雨交じりだったのが、ようや…

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長谷部浩
4年前
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【劇評195】勘九郎、猿之助、観客の胸をうつ。又平とおとくの物語が、成熟した舞台と…

 歌舞伎座は、第三部、第四部と近松門左衛門の作品が続く。第三部は、奇瑞と名跡をめぐる物語…

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長谷部浩
4年前
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【劇評180】白鸚と勘九郎ががっぷり四ッに組んだ角力場の値打ち。

 松本白鸚と伝承について、短く書くのは難しい。  けれども、こうしたテーマですぐに思い出…

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長谷部浩
4年前
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【劇評168】愛之助、壱太郎の『連獅子』。勘九郎と巳之助の『棒しばり』。二本の舞踊ものがたり。

 小津安二郎の映画だったろうか、それとも三島由紀夫の小説だったろうか。  歌舞伎座が下お見合いの場となる描写があったように思う。欧州のオペラ座も同様だろうけれど、国を代表する豪奢な劇場は、単に観劇の場ではなく社交の場であった。  また、消閑という役割もあって、私の父の世代は、あまり気に染まない幕は抜いて、食道でビールをゆっくり飲んでいた。  当時は、なんと不真面目なと思っていたが、今は、そんなのんびりした情景が懐かしく思い出される。  二月の千穐楽から、八月の初日まで。長

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