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関節包と滑液の構造と機能

前回は靭帯の構造と機能について紹介しました。

関節包は関節を構造する組織の一部であり、骨格筋の筋膜と並び拘縮の主要因になる組織です。

拘縮を予防し関節運動を円滑にするためには関節包と滑液の役割を理解しておく必要があります。

今回は、関節包と滑液の構造と機能について紹介していきます。

本日も学習していきましょう!




関節包は関節全体を包み、靭帯とともに関節を補強しています。

関節包の内層にあたる滑膜からは粘性のある滑液が分泌され、関節腔を満たし、骨同士の摩擦を軽減すると共に、関節軟骨への栄養を供給します。

関節包の構造


関節周囲は骨膜からの延長した結合組織の膜で囲まれています。関節を包んでいる部分を関節包と言います。

関節包は外層と内層に分けられます。外層は密性結合組織からなる線維膜、内層は疎性結合からなる滑膜で、主要構成成分はコラーゲン線維です。

外層:線維膜

線維膜は弾性に乏しく、関節を補強する役割を持ち、一部は関節包靭帯として存在します。

線維膜には機械受容器が分布しています。自由神経終末、ルフィニ小体、パチニ小体、ゴルジ腱器官などがあり、靭帯と同じように関節の位置や状態をつかさどります。

内層:滑膜


滑膜の表層(関節腔に向かう面)には関節腔内へ飛び出す滑膜ヒダがみられます。大きなものは脂肪組織を含み、対向する関節面の適合しない部分を補い、死腔を埋めています。

滑膜の表層は滑膜内膜と呼ばれ、2〜3層の滑膜細胞で覆われています。滑膜細胞はA細胞(またはM細胞)とB細胞(またはF細胞)に大別されます。

A細胞は、マクロファージ様の細胞であり、滑液中の老廃物や代謝産物を消化します。B細胞は線維芽細胞様の細胞であり、コラーゲンなどの蛋白質やヒアルロン酸の合成と分泌に関与します。

滑膜内膜の外層は滑膜下層と呼ばれ、線維芽細胞や束状構造をもつコラーゲン線維からなり、線維膜へ移行しています。

滑液の機能

骨と骨の摩擦の軽減

滑膜下層には毛細血管が多く分布しており、血液ー滑液関門を形成します。

血液の一部が関節腔内に流出し、B細胞から分泌されるヒアルロン酸が加わって滑液となります。

ヒアルロン酸とは、グリコサミノグリカンの一種であり、非常に保水性が高く、生体内のさまざまな結合組織に存在します。

滑液はヒアルロン酸に由来する粘性をもち、関節の潤滑液として働きます。骨と骨の間に滑液の流体膜が形成されるため骨同士の接触が起こらず、接触したとしても摩擦抵抗はそれほど上昇しないため、円滑な関節運動ができます。

病的にヒアルロン酸含有量が低下すると骨同士の直接的な接触が起こり、摩擦抵抗が増し、骨表面は摩耗していきます。

関節リウマチや変形性関節症でみられ、運動時に「関節がすれる、きしむ」ような感覚を覚えます。また、ヒアルロン酸含有量の低下は不動によっても生じるとされています。

関節軟骨への栄養供給

滑液の重要な役割の一つが関節軟骨を栄養することです。

関節軟骨の栄養に必要な糖類や電解物質などの低分子物質は、滑液によって関節軟骨へ供給されます。また、代謝産物も滑液によって搬出されます。

関節軟骨への栄養供給と関節軟骨からの代謝産物の搬出は、関節運動によって維持されています。

まとめ

・関節包の外層は線維膜であり関節を補強
・関節包の内層は滑膜であり滑膜細胞で覆われる
 A細胞は滑液中の老廃物や代謝産物を消化
 B細胞は蛋白質やヒアルロン酸の合成と分泌
・滑液には毛細血管が分布
・血液にヒアルロン酸が加わり滑液になる。
・滑液は骨と骨の接触による摩擦を軽減
・滑液は関節軟骨を栄養


参考にした書籍はこちらです↓

関節可動域制限―病態の理解と治療の考え方




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今回の記事は以上になります。

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