循環器系に関する薬剤 昇圧薬と降圧薬について
リハビリテーションを担うセラピストは、薬剤の知識を学ぶ機会がほとんどありません。
「薬剤の勉強もしないと」と思いつつ後回しにしてしまいます。
意識して学ばないと情報が入ってこない状況です。
薬剤について知ることは、患者様の容態を把握する手がかりになります。
今回は、循環機能に関わる薬剤(昇圧薬と降圧薬)について紹介していきます。
それでは、本日も学んでいきましょう!
昇圧薬
離床時の血圧変動で危惧されるのは起立性低血圧です。
急激な血圧の低下により、気分不快や眩暈、ひどい場合は意識消失を起こします。
血圧を上げる方法は、血管を収縮させるか、心筋収縮機能を上げて循環を活発にすることです。
ここでは、非カテコラミン系の薬剤を紹介します。
血管を収縮させる薬剤
薬品名
メトリジン、ヒデルギン、ネオシネジンなど
効果
α1受容体を刺激し、末梢の平滑筋に作用して末梢血管を収縮させる。二次的に心拍出量を増加し、持続性がある。
対象
起立性低血圧や慢性の低血圧に有効で、正常血圧にはあまり効果がない。
主な副作用
肺水腫、電解質異常、動悸、不整脈、過敏症など
心筋収縮機能を上げる薬剤
薬品名
カルグート、ノイキノン、タウリン、エホチールなど
効果
主にβ受容体を刺激し、心拍出量の増加により血圧が上昇します。
対象
慢性心不全
主な副作用
不整脈、過敏症など
両方の作用を持つ薬剤
薬剤名
リズミック、アラノミン、(カテコールアミン)など
効果
血管の収縮と心拍出量増加の両方の効果
対象
起立性低血圧、透析中の血圧低下改善、血行障害改善など
主な副作用
肺水腫、電解質異常、動悸、頻脈、不整脈、過敏症など
降圧薬
降圧薬の条件は以下の通りです。
①降圧作用が緩徐である。
②長期に服用しても副作用が少ない。
③他の病気に悪影響を与えない。
④他剤との相互作用が少ない。
⑤投与回数が少なくてすむ。
降圧薬使用中に危惧することは、急激な血圧の低下です。
作用機序には2つの方法があります。
血管を拡張させることと循環血液量を減少させることです。
降圧利尿薬
薬品名
フライトラン、バイカロン、ダイアート、アレリックス、アルダクトンAなど
効果
利尿を促すことで循環血液量を減少させます。
腎臓の作用点の違いから、サイアザイド系、ループ系、カリウム保持系に分類されます。
遠位尿細管に働くサイアザイド系が最も降圧効果が強いとされます。
対象
本態性高血圧症など
主な副作用
長期使用で糖、脂質、尿酸の代謝異常など
β遮断薬
薬品名
テノーミン、メインテート、セレクトール、セロケン、セレクトールなど
効果
β受容体を遮断して心拍を減らし、循環血液量を減少させます。
さらに、末梢循環不全になるので末梢血管が拡張し、確実な降圧効果が期待できます。
対象
本態性高血圧(軽度〜中等度)、狭心症など
主な副作用
糖新生の抑制、気管支喘息発作の誘発など
ca拮抗薬
薬品名
ノルバスク、アムロジン、ペルジピン、アダラート、セパミット、コニール、ヘルベッサー、カルスロットなど
効果
Caチャネルを介してCaが細胞内に入ると平滑感が収縮します。このCaを遮断することで血管収縮を予防することができます。
ACE阻害薬・ACE受容体拮抗薬(ARB)
薬品名
①カプトリル、レニベース、アデカット、タナトリル、コナン、エースコール、コバシル、インヒベース、セタプリルなど
②ディオパン、プロプレス、ニューロタン、ミカルディスなど
効果
腎臓にあるアンジオテンシン変換酵素(ACE)からアンジオテンシンⅡ受容体に結合すると血管が収縮して血圧上昇につながります。
この大元になるACEが産生されるのを阻害するものがACE阻害薬です。
受容体に作用するのを阻止するのがARBです。
対象
本態性高血圧症、腎性高血圧症など
主な副作用
空咳など
まとめ
・循環器系の薬剤は昇圧薬と降圧薬がある。
・血圧を上げる(昇圧薬)には、
①血管を収縮される
②心筋収縮機能を上げる
・血圧を下がる(降圧薬)には、
①血管を拡張する
②循環血液量を減らす
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