中学校の国語教師が教えてくれた、駄文と魅力的な文章との0.1%の差の話
結論から言おう。
それは、視点です。
わたしの親戚に中学校の国語の先生がいる。
優しくて物腰も柔らかくて真面目で、ステキな叔父さんだ。
たまたま少人数でゆっくり呑める機会があったもんで、前から気になっていたことを聞いてみた。
作文ってどうやって評価するの?
ってこと。
数学みたいに答えがばっちし決まっているものはいいけれど、読書感想文やら作文みたいなものはどうやって点数化するんだろうか。
何を書いたら減点で、何を書いたら高得点なのか。
そのあたりがずっと気になっていた。
そんで、聞いてみたんよ。
「読書感想文や作文ってどうやって評価するんですか?」
「うーん。個人的には読書感想文とか好きじゃないんだよね。
感想文を書かせるために読書するなんて、変でしょ。
本は読んで感じることに意味があるからなぁ…」
「たしかに。それは同感です。とはいえ、教師という立場だから評価しないといけない場面もありますよね。」
「わたしの個人的な考えだけどね、読書感想文も作文も、書いた時点で99.9点だよ。それだけ自分の気持を表現するのは大変だし、素晴らしいことだから。そこに優劣はない。書いたら99.9点。」
表現を評価することに否定的な叔父さんの優しさがにじみ出てる。
こんな考えの教師が身近にいることを嬉しく思うよ。
でも、やっぱりあと0.1点の差が気になるわけで。
「残りの0.1点の差は何?」
「それはね、視点。こればっかりはどうしようもない。」
「視点?」
「そう。」
叔父さんは続けて情熱的に教えてくれた。
「文章の書き方とか構成なんて、みんなそんなに変わらないよ。語彙力も特に関係ない。
『この子の文章いいな』って思うときは、視点が違うんだよね。」
つまり、こういうこと。
例えば、「虹」をテーマに作文を書いたとして、
虹のキレイさを語彙力たっぷりに完璧な構成で書かれた作文よりも、
普通の語彙力、普通の構成で「虹は母ちゃんとの喧嘩を思い出すからキライだ」と書かれたほうが気になっちゃうってこと。
テーマについて
どんなものが見えるのか
どんな気持ちが湧いてくるのか。
それが、一般的なものと違うと惹きつけられてしまって、残りの0.1点をあげたくなる、ということだった。
「みんな合格。みんな作文を書いただけですごいよ。99.9点。
でも、もし分けるとしたら、そういうところかな。」
国語教師の仕事は毎週毎週何十人という素人の文章を読んでいる。
作文を書けと言われるのは面倒に感じていたけど、言った方はそれを何十人分か読まないといけないわけで。ついでにコメントも書いたりして。
それはそれで大変な仕事だったんだなと、今更思うよ。
そこから光るものを感じるってのは、やっぱり他と違う感性を感じたときなんだろうね。
才能じゃなくて、感性。ここ、重要。
プロの人は「視点の大切さ」なんて当たり前で書いてるだろうから、わざわざ言ったり表現したりしないけど、
これからnote書こう、ブログ書こうって思っている初心者の人は、
こういう当たり前のところを知りたいのかもね。
そんで、読む方も完璧な文章よりも変わった視点の文章のほうが読みたかったりね。
完璧な文章を読みたかったら本を買えばいいと思う。
ブログやSNSでプロじゃない人の文章を求めるときは、
その人の経験からの見え方とか気持ちのほうが知りたい。
小説家が書いた、たまに作る料理の話より、
文章下手なコックさんが書いた実話のキッチン騒動のほうが知りたい。
わたしは。
…っていうか、キッチン騒動ってなによ。
適当に書いたけどものすごく気になってきた。
一日で一番忙しいランチタイムに起きたキッチン騒動。
お店イチオシの看板メニュー「菜ポリ短!」の隠し味に使っていた七味がない!急いでバイトに代わりを買いに行かせるが…。
みたいなやつ誰か書いてください。実話で。
プロじゃない人の文章が気軽に読める今の時代っていいよね。
書きたいけど迷っている人は、ぜひ始めてみてほしい。
その視点、知りたいなぁ。
と、話は戻って…
まぁ、視点が常に天から目線のハルヤさんは、もちろん素晴らしい視点の作文を書いて表彰されたことがあるわけよ。
当たり前じゃないか。
ダテに「どこみてんの?」とか「いつもヘラヘラしてるね」って言われてないからね。
なんなら現実世界のことなんて一つも見てないから。
パンツを後ろ前で穿いてて夜気づくなんてザラだから。
財布の中身みてなくて、出先で無一文になるとかザラだから。
常に心の目で世界をみてるから、わたしは。
醜いものはみないから。
自分のこともみえてないから。
え?
表彰された作文の内容ですか?
原稿用紙2枚にわたって、
北海道と東京の匂いの違いについて書いた文。
変態かよ。
変態だったわ。
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