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「本当の空」

 十二月、初めてのリアル句会出席からほぼ一年になります。知らないというのは怖い、向こう見ずにもその初めて出かけたのが、昨年の結社麒麟の十二月東京句会。
 ここ、今でもホントはずっと思ってる、隅っこでもいちゃいけない気が、レベルがチガウ気がする・・・。
 でも、その初めてのとき、麒麟先生はとても優しいので互選で唯一開いた句を、特選に選んでとても素敵な句評をしてくださいました。

「ほんたうの空ゆくシロナガスクジラ」
                                                            haruwo

『本当の空』は、シロナガスクジラがゆく海に映る空で、その中を鯨が悠々と泳いで行く、シロナガスクジラ、と長くしたところもその長さが見えて良いと。

 なんて素敵な景!
 とてもとても、うれしかったです。

 そう、でも実はこれは先生のいう「ラッキー」でした。
 実はこの『本当の空』は、高村光太郎の「智恵子抄」に出てくる智恵子の空のことだったの。

智恵子抄
あどけない話

智恵子は東京に空が無いといふ、
ほんとの空が見たいといふ。
私は驚いて空を見る。
桜若葉の間に在るのは、
切つても切れない
むかしなじみのきれいな空だ。
どんよりけむる地平のぼかしは
うすもも色の朝のしめりだ。
智恵子は遠くを見ながら言ふ。
阿多多羅山(あたたらやま)の山の上に
毎日出てゐる青い空が
智恵子のほんとの空だといふ。
あどけない空の話である。

            昭和三・五

青空文庫 高村光太郎 智恵子抄より 


       ** *** ** 
 小学生の時、学校の授業で読みました。
それからその空が、ずっと何処かにひろがっていて、忘れられない。

      *** *** *** ***
 一年して、自分の俳句はちっとも上手くならないけど、味噌っかすだけど、句会は楽しいです。この味噌っかすをあたたかく迎え入れてくださる先輩がた、参加の方々、スタッフの方々、そして何より先生へ、たくさんの感謝!

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