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『バンオウ-盤王-』第47話「月山VS七島」感想 俺より強い奴に会いに行くVS俺より強い奴が一番嫌い


◆セミファイナル開始

12月8日(金)に『バンオウ-盤王-』の最新第47話が配信された。

カメラマンが今回の主役二人を囲みシャッターを切っていると臨場感がすごかった。これはアガるなあ。そりゃあ竜王戦の準決勝であり、あの七島名人が登場ならば見逃すわけにはいかないだろう。しかも最近注目されている月山さんとセットなのだから「いつもの対局」ではない特殊シチュエーションになっている。
ところで七島名人はやはり作中だとイケメン判定なのだろうか。以前からこの人ナルシズムなのを漂わせていたから写真集とか出していそうなんだよな。あと筋トレやってるからヌードも歓迎していそう。

…お兄ちゃんは月山さんの写真集で人類滅ぼせばいいんじゃないかな!

◆月山さんのスタイル

久々登場の伊津先生が語るは、月山さんの印象。「これまでは勝利に賓欲、今は将棋に賓欲」というのはものすごくしっくりくるフレーズだ。というか、月山さんは勝敗関係なしに将棋をやり続けたい将棋星人ってイメージだもんな。今は

相手の強さを消すのが強み。
これもしっくりくるな。ここからは我ながらなあなあでふわふわな意見になるし解釈違いと言われても構わないと予防線を張っておくが、月山さんは300年もの将棋経験があるわけで、年々戦法がアップデートされれば研究し尽くすほどの将棋ジャンキーだ。
前回の滝川さんのときだって見たことのない景色にハァハァしててアンナさんからヘンタイ判定食らっていたことから、相手独自の強さは月山さんにとって遊びつくしたい良い獲物に成り得る。もっと言うならば興奮剤みたいなものである。将棋は麻薬ですね。

だが今回、七島名人にそれは通用するのか――――…
これからとことん月山さんを苦しませるだろうが、それでも「将棋おもしれえ!!」となれば七島名人ドンヒキさせられるだろうか。そんな光景が見られるハードルは決して低くはないだろうが…

月山さん大分吹っ切れたなあ。「名人と戦える好奇心は勝利よりも重要」も理解できる言葉だ。ぼくは未だに将棋に手を付けていないのだが、アマチュアが挑戦者の立場としてスゴイやつと戦える異例のシチュ自体とても羨めるからな。

◆ウキウキお兄ちゃん

今週もお兄ちゃんがお兄ちゃんしていたわけだが、ここでひとつ成長描写が見られたことに注目したい。

単に月山さん鬼つええ!を堪能するだけでなく、相手の人間が興味が持てればボコすのが最も面白いという持論。

今回の七島名人は以前からやべー雰囲気を放っていて、善人や人格者が多い本作ではクセが強かった。やはりお兄ちゃんもマークせざるを得なかったのだなあ。実にお兄ちゃんが気にかけそうだもんなあ。そりゃあ滅ぼし甲斐あるよね。将棋で。

お兄ちゃんは未だに将棋よくわからん勢だと思うし、雰囲気で楽しんでいる勢とも言えるだろうが、棋士二人の人物像に重きを置いた対局という楽しみ方は実に本作の特徴である。これまで月山さんが戦ってきたライバルたちはいずれも魅力的かつ、今後の活躍が見たいという断腸の想いに浸れた。
それでもお兄ちゃんにとっては月山さんだけしか注目していなかったのは仕方ない。ぶっちゃけ善人や人格者には興味なさそうだもんこの人。「類は友を呼ぶ」がしっくりきている。

◆黒いオーラ

月山さんの黒いオーラ!早速めっちゃ出てる!これバロメーターみたいになりそうだよなあ。全身を包み込むようにドス黒くなるんじゃないだろうか。下手したらヤバいことになりそうで怖いもの見たさがあるが、今のところ好奇心が勝るな。

なんというドス黒さ…!だが理解はできるぞ七島名人!

要するに、結局は負けず嫌いなのだろうこの人。ものすごくワルなツラしてるのでワルっぽく見えてしまうのは仕方ない。だが強者である月山さんのことは好きだと言いつつも、強すぎるのはアウトという二極化、ダブスタ。ちょっと我儘で傲慢にも見える。だけどそれはそれで共感できるし、寧ろこうも正直なのが人間臭くてぼくは気に入ったな。強者に嫉妬しちゃっていいじゃない。

これはお兄ちゃんがマークするのも納得しかないなあ。
ドス黒い感情が見えていたのはご名答なわけだが、如何にもお兄ちゃんが好きそうなキャラである。もっと言うならば、お兄ちゃんからすれば潰し甲斐がありそう。将棋で。

あと「汝、攻略可能な強者たれ」という煽り文が格好良かった。
ダークな展開に持って行っても、これまでにいなかった強敵感を強調させつつ月山さんを挑戦者として見立てる演出として機能しているのが素晴らしい。こういうのがリアルタイムで読む甲斐があるライブ感だ。あまり煽り文のことは話題にしていないが、結構良いのが見られるよな。

ただその煽り文のセンスを単行本帯に分けてほしいなあ…!
この漫画は単行本買っているほど好きなんだけど、帯のアオリは無難すぎてあまりキャッチーじゃない。書店で見かけても「おおっ…うん…」って感じ。売り上げがイマイチ跳ねないのはそれが原因じゃないかと考えている。いや担当編集の杉田さん(ロボコやネバランも担当している人)がそれを考えているかどうかは分からないけどさ。
というわけでみなさん単行本買ってください。「この漫画はお兄ちゃんが一番クソ面白くてね…」とお布施もしてやってください。

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