『バンオウ-盤王-』第68話(最終話)「3年後」感想 月山さんたちの将棋と物語は世界の裏側でも繋がっているし、きっとこれからも永遠に続いていく
◆3年後
6月7日(金)に『バンオウ-盤王-』の第68話もとい最終話が配信された。物語の舞台は前回から3年後となった。100年後へ一気にキンクリじゃなくて良かった…
いや本作はそんな気を衒う超展開をやる必要なんかないんですけどね。ファンタジー要素は吸血鬼の存在だけで十分だし。数年後みんな何をやっているのかちょっとした群像劇が見たいわけで、100年後へトぶと変に後味悪いですからね。面影が見られる子孫も将棋やってます的なヤツは別に求めていないし。
!?
天草先生ちょっとチャラくなってない!?
明らかに強キャラ感が出ているし今回3年後だから実質大学生の年頃らしい雰囲気はまとっているのだけれど、なんか初見「わっ!チャラッ!」と思ってしまって本当にすいませんでした。一体天草先生は何故こんなヘアスタイルにしたのか。
滝川さんが地味に評価されているのがすごく嬉しい…!
直接描写はやはり見たかったのだが、でも想像の余地にゆだねられるんだよなあ。天草先生は先週時点で将棋やりたいとウズウズしてパワーアップ、と思わせて上には上がいると証明。これって月山さんがライバル全員を焚き付けさせてやったのではないかと考えたくなる。天草先生あなただけではないですよ的な、もう将棋界隈そのものをレベルアップさせてきた感じ。
とらドラ!
天草先生=虎のイメージはこれまでありそうで全然無かったのだが、突然のイメチェンは竜を刈り取ろうとする虎への豹変を象徴しているように見えなくなってきたな。それほど吹っ切れたといいますか。でも今でもカレーは大好物なんだろうなあ。スポンサーもバーモンドカレーを筆頭にコラボとかやりまくっているんだろうなあ。
◆月山ロス
月山さんガチ恋勢みたいだなあなたたち!
いや流石にガチ恋勢はいないだろうけど、それに匹敵するような愛と重さを感じるよ!サイン会をやりそうだよ!ともあれ和島さん経営の将棋教室は今でも続いていられた吉報だけでも嬉しい。が、あれ以来月山さんが帰ってくることは一度たりともなかった。マジかあ…
でも今でヒーローだのアイドルだのベストフレンドだの、とても忘れられないかけがいのない存在として見てくれているのは嬉しい。彼らの中ではいつの日か帰ってくるのだと信じているのだろう。
月山さんは絶対将棋をやってると信じてるのがすごく良かった。
もうこの人たちが常にポジシンだからってのも起因しているんですけど、将棋教室を離れようが将棋を辞めることなんて絶対有り得ないんだよな。300年も続けてきて突然辞めるなら余程何かやべえことがあったんじゃないかと危惧してしまうがそんなのは絶対ないだろう。
まああるとするなら吸血鬼ハンター絡みだろうが、月山さんなら将棋を刷り込ませて将棋沼へハメてしまいそうな絶対的信頼感がある。あと本作の作風からしてヘヴィーすぎる展開はカテエラだし。喜劇絶対だし。
◆お兄ちゃん
お兄ちゃんはおしまい!(月山ロスで)
こっちは負の方向性になっていたが目が死んでいるお兄ちゃんは無条件で笑ってしまう。月山さんの将棋が光扱いだとかどんだけ浄化されたって話ですよ!まあ、実際竜王戦では穏やかな表情で見届けていたし、真っ当に優しいお兄ちゃんやってたけど。
お兄ちゃん将棋はじめました。
ロスを自分で埋める行動力の化身!つーか2週間で将棋のルールをマスターしたとかすごない!?どんだけガチ勢かって話ですよ!これはバンオウ2部への布石だと信じたくなるじゃん。月山を継ぐ男じゃん。
なんか良いなあこういうの。
これまで将棋にノータッチだったキーパーソンが最終回で景色を眺められるのって、月山ロスを少しでも埋められた根拠になった気がする。
なんかもうだめそう。
今でも人間滅ぼすとか言ってるとお兄ちゃん全然変わってねえ!まあまだ将棋ルーキーだからなのもあるけど、今後伸びる余地はあると信じたいけど、「神の一手だ」とドヤると即落ち2コマ感覚で負ける予感しかしねえ!
お兄ちゃんはこの2週間で何を覚えたの?ズルで人間を滅ぼす方法?
◆ハント再開
最初「ワン!!」がお兄ちゃんが吠えてるように見えました。
だってこんな重度すぎる月山ロスだし。犬みたいにヨツンヴァインになっているし。大分理性が狂っているし。でも将棋は辞めずに続けてほしいし、将棋教室にも通ってほしいんだよなあ。
頭のおかしい人に吠えるなってのも無茶な気がするのだが…
アンナさんの「みーつけた」って表情がジワるし、追いかけっこの謎の疾走感で爆笑!!
結局このふたりってまだ打ち解けあっていないから狩る狩られるの関係のままなんだよなあ。うーんでも絵面は笑えるし、ここで出番終了といえど将棋を学びあえる結末にもなれるでしょう。「俺は月山、ではなく元四郎の兄だ!!」と公言するとあたおか確定なのが悲しくなれるが。
◆ネット将棋
伊津先生がネット将棋デビュー。ほう。しかもこれ、全世界の誰とでも戦えるのだそうだ。ふと思うに、海外の棋士って存在しているのだろうか?いやいるのかもしれない。月山さんに負けぬ海外の猛者ないし、吸血鬼のような人外が将棋を嗜んでいる可能性だって本作なら実現してもいい。
ところで伊津先生は下の名前が道央なのでMICHYにしているのがかわいい。奥さんはどう思われたのだろうか。
あ…!
もう確定演出じゃん!!
天草先生のサイン思った以上にでけえのな!!
というわけで、月山さんは今日も将棋を指し続けるのでした。
それは期待通りなのだが、まさかのブラジル南東部在住は予想外だった。てっきり日本のどこかへ隠居していると思っていたよ。
そうなるとパスポートはどうしたのだろうか?戸籍謄本や証明書が必要になるから、数百年も生きている月山さんは残念ながらそういうのを持つことができない。だとすると密入国なのかなあ。かなりグレーだが、だからってそんなことをグチグチ言うつもりはない。そもポルトガル語を覚える必要だってあるし、家やネット環境を整えるのだって大変だっただろう。
◆新天地で戦い続ける理由
何故ブラジルなのか。
日本の裏側に位置するので、たとえ遠く離れていても俺たちはいつでもだれとでもネットで将棋ができるという意味は込められているのだと思う。もちろん直接顔を合わせて対局が一番エキサイトさせられて面白いだろうが、ハードルの低さを考慮するならネット将棋の存在はとてもありがたいだろう。
さて海外と言えば時差も考慮する必要がある。
日本の裏側というわけで12時間差。
つまるところ、吸血鬼に適した環境なのではないだろうか?
夜中に指す人はあまりいないだろうから、日本とは昼と夜が逆転したブラジルなら月山さんが一番集中してやりやすい夜間こそ最適だと考えられる。まあ時差はブラジルからそう離れていない場所でもやれそうだし、そも屋内でのネット将棋なので昼間もやれそうだが。月山さんの部屋の窓は観音開きだから光を遮れるだろうし。
敢えて海外在住なのも面白いオチだ。
月山さんはブラジルに将棋教室を始めるなんて未来も想像できてしまう。夜間での仕事はあるかどうかは分からない(いちおうブラジルにもコンビニはあるそうだが)が、仕事ついでに将棋を教えてやがて教室を立てる。なんてプランも有り得なくはないだろう。面白そうでいいじゃないか。ブラジルが第二の将棋発祥の地だなんてありそうでなかった。
まあこれはあくまでぼくの予想にすぎない。
が、吸血鬼は昼に弱いという設定を久々に匂わせてくれたのは地味に巧かった。吸血鬼の存在そのものは終始問題視されていたけど、昼ニガテなのはここ最近全然触れられていなかったしね。そもそも個人的にはそこまで気にすることではなかった。本当に弱いだけで太陽光浴びたら死亡ではないし。
単行本のおまけページないし描きおろしでそのへんについて補足されるかもしれないが、敢えてなくてもぼくたち読者が勝手に想像できてしまう良い最終回だった。
ややあっさり終わった後日談に見えなくはないが、月山さんが今でも変わらず将棋を指し続けていると分かっただけでも満足。
綿引先生、春夏冬先生、一年半もの連載本当にお疲れ様でした。ぼくは昨年の夏頃からリアルタイムで連載を追いかけ始めたので実質3クール強の付き合いではありますが、それでもすごく楽しかったです。最後まで読んで良かった漫画にまたひとつ加わったことに深く感謝申し上げます。このお二方の次回作がどんなものになるのか想像が付かないですが、読み切りでも新連載でも首を長くして楽しみにさせていただきます。
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