『バンオウ-盤王-』第48話「自信」感想 負けず嫌いの敗北宣言はまさに屈辱
◆連載1周年突破!
12月15日(金)に『バンオウ-盤王-』の最新第48話が配信された。
まずは、連載1周年おめでとうございます!!
この漫画は2022年12月16日より連載開始された。ぼくが本作を読み始めたのは今年7月頃からなのであまりそんな実感は湧いていないのだが、どうにかここまで連載継続できただけでも大変めでたいので祝っておこう。
…といっても公式では特にそういったアナウンスはされていないし、カラーももらっていない。本編の内容を踏まえるとここで祝うタイミングなのかはちょっと怪しくある。なので数週ずれてしまうかもしれない。
つーかジャンプラって本誌みたいに周年祝いやるんすかね?ジャンプラ作品は他には『チェンソーマン』と『ちえりの恋は8メートル』しか読んでいないけど、どちらとも休載や番外編が多くて周年祝いスルーしていたからなあ。
◆甘党の伊津先生
伊津先生が画で攻める展開なんですがそれは…
いくらなんでも食いすぎじゃないか!?血糖値とか大丈夫なのか!?だがそんな疑問を二の次にしてまで強者オーラが画面から溢れてきている。パフェ食ってるだけなのに。
まだひとつ残っているのにふたつおかわりしたり、流石に岩本さんから体に悪いですよと指摘されれば「今日はすこし控えめにしています」と底の知れなさをアッピルしたり、いやはや…すげえなこれ。
半ばギャグムーヴなのに、月山さんに負けたのに、寧ろ強者の格がガンガン高まってきているよ!
だがしかし、案外理にかなっているのかな。
「食べることは才能」というフレーズをどこかで聞いたことがあるのだが、それは筋トレとも関係しているのだとか。七島名人が筋肉絶対主義なのは嫌でもわからせられたわけだが、伊津先生も胃の力が鍛えられているのかもしれない。こう見えて脱いだらムキムキなのかもしれない。
というか、ひふみんこと加藤一二三氏がモデルなんだろうな。あの人は大の甘党としても知られているからな。そういえば『高校生家族』に登場した桐生三冠もパンケーキタワーを食っていた初老の方だったので、こうしてモデルにされているほどキャラが濃いわけだ。
◆今週のお兄ちゃん
表情で状況を察するお兄ちゃん。実にお兄ちゃんらしい観察眼だ。気持ち悪がられそうだが。
「イケているときの元四郎」という新たなパワーワードが出てきた。いや意味は分かるんだけど、なんかすごい変な響きがする。将棋漫画で出てくるフレーズがないから?あるいはお兄ちゃん本人の製だから??
うーんでもこれは確かにイケている月山さんそのものだなあ。もう不安も何もない。あとは将棋ジャンキーらしい不敵の笑みが欲しいところだな。お兄ちゃんは絶対喜ぶに違いない。反面、七島名人は「俺にそんな顔を見せるな」とキレそうであるが…
◆七島名人に悲しい過去
今週前半は七島名人にスランプの時期があったという意外な情報がポツリと出てきた。それが負けず嫌いのターニングポイントなのだろうなあと察せられたが、いやしかしスランプというのはなんだか意外だ。
それが今週後半にて回収されていく。七島名人の表情もエグいが、コマ外へもにじみ出る負のオーラ。相当のドキツイスランプなのを物語ってくれる。
ああ…新堂竜王か………
この対局後に挑む相手、暫定ラスボスポジなのでこの人以外負ける相手がとても思いつかない。それより注目したいのは七島名人の冷や汗と余裕のなさが伺えられる表情だ。こんな光景も意外や意外。またしても解像度が高まっていく。
「負けました」と頭を下げて敗北宣言。
そりゃあ屈辱の記憶だわ。負けず嫌いになっていいわけだわ。
具体的対局状況は不明だが、あの七島名人のことだ。粘りに粘ったのかもしれない。筋トレで培ってきた相当の体力と精神を消耗してまで。やがては詰み、どうしても自分の口から「負けました」と宣言せざるを得なかったのだろう。新堂竜王は「負けを認めたらどうですか」と煽るようなキャラじゃないし。というかそんなの小物臭くなるからNG。
いやあでも、ここで新堂竜王のラスボスの遺憾を改めて発揮させてくるのはいいなあ!あまり出番は多くないのだが、次シリーズへの布石へとなっている。そうなると七島名人が前座のように見えてしまうが、負けず嫌いなキャラクター性と結びついてくるし、同情心も湧いてくる。
あと今回新堂竜王が一切台詞も大したムーヴもないのに、強者の風格を纏わせているのもポイント高い。もちろんここに至るまで新堂竜王のキャラを立たせたからこそなのだが。
月山さんのことを応援したいのに、七島名人はこれからフルボッコされてしまうのかと思うと大変もどかしい。尤も、これまで挑んできた無数の強敵たちにも言えたことなのだが、今回の七島名人は負の感情が露わになってでも人間臭さが濃い。すごぶる共感できてしまう。ぼくも負けず嫌いで嫉妬しやすいからな。
今回はどういった決着を迎えるのか、そして七島名人への救いはどうなるのか…想定内の着地点が見えてこない。