『バンオウ-盤王-』第40話「肩書のない終盤戦」感想 対局とドラマを面白くさせた滝川さんに感謝
◆将棋ウォーズSPコラボ
10月13日(金)に『バンオウ-盤王-』の最新第40話が配信された。
今週のラストページで告知されていたが、『将棋ウォーズ』のSPコラボが開催とのことだ。
あいにくぼくはやっていないのだが、興味はある。
月山さんは鬼強いんじゃないか?アバターゲッツできるとはいえ強さが解釈通りなのか?という点においてだ。当然、ひとつの勝敗だけですべて甲乙つけるべきではないのだが。たぶん、本人ではなく月山さんとのAI(やはりGEN名義のようだ)をマッチなのだろう。これまでの戦績から戦略を分析ってやつだ。将棋ウォーズ運営吸血鬼ハンター説やめろ。
お兄ちゃんホイホイ企画なのは解釈通り。
これいずれ本編で逆輸入されそうな可能性がありそうな気がする。しれっとアンナさんのように『将棋ウォーズ』を始めて、月山さんと再会した暁にはドヤ顔でスマホ取り出してニタニタ笑みを浮かべそう。なんか15秒CMみたいな雰囲気になりそう。
◆容赦ない月山さん
前回ラストから月山さんの一転攻勢が開幕。勝ち確してしまう(我ながらなんて表現なんだ)のは分かっていたのだが、対する滝川さんは一旦落ち着いてから指せば、月山さんは躊躇なくノータイムで次の一手を指してきた。この人容赦ねえな!!今回ばかりは滝川さんがマジ主人公だな!!
いやあ面白いな。
「相手は大分冷静さを取り乱している」に対し、「だが容赦なくすぐに指す」は別におかしくないし寧ろ全然あってもいい。効果的なハッタリとも言える。だが月山さんが今回初めて鬼畜に見えた気がした。これはこわい。
将棋の戦況とは直接関与しないが、精神面での戦いとして魅せ方が面白い。「指す」描写だけでこんなにもエキサイティングさせてくれるとは、新たな発見があった。我ながら変な話だが、ノータイムで早押しするクイズ番組みたいだな。肝心なのは正解かどうかだが、シンキングタイムが短いほどスゴさが増す。将棋にもそれが通じるものがある。本当に変な話だな。
◆天草先生あざとかわいい
この漫画ほんとあざといキャラばかり出してくるよなあ!
ここだけ天草先生から天草くんと呼びたいくらい年相応の子供になっちゃったよ!先月激戦を繰り広げていたハズなのに、憑き物が降りたようになっている。退場キャラのオイシイ出番の与え方だ。
天草先生が滝川さんをヘンテコ将棋呼ばわりした時点でもうおかしかったが、お母さんがノックなしに入ってくればエロサイト開きっぱなしの中学生みたいなリアクション取っていた。PCチェア後進させる勢いすげえな!
家族とは仲良くやれているようでなによりだ。カレーは二日連続は流石に飽きるよな…だからと言って夕飯にカップメンはどうなんだ。カップメンも美味しいから個人的にはアリだけど。シーフード味が大好きです。
◆この対局はもっと面白くなる
今週一番好きなゲキアツシーン。
なにが良いかって、仲田さんが「この対局はもっと面白くなる」と観戦記者でありながらこの対局を楽しんでいる姿勢がすごく良い。そして、「面白くするのはお前なんだ!!」と滝川さんへの強い期待と信頼を寄せてくれる。
直接言葉で訴えるとかえってプレッシャーになりそうだが、あくまで仲田さんのモノローグ。ていうか、まず声は出しちゃダメだが。だが、こうも想いをぶつけたくなっちゃうよなあとめちゃくちゃ共感余裕すぎた。
滝川さんが勝つのが重要だが、対局が面白いかどうかも大切。
仲田さんは観戦記者なので、出来る限り面白い状況になることを切望したいだろうし、それを見届け伝えるのがお仕事だ。そんな必然性があろうとも、今回のモノローグでかなり好感度爆上げだった。元棋士でもキャラが立ちすぎである。
◆アンナさんなら大丈夫
22時になったのでひとりで大丈夫かと心配されるアンナさん。
初登場時は異常な戦闘力を誇っていた時点で全く不安要素がないのだが、後方理解者ファンモブの理解度たけえな。ほんと大丈夫そうだもんな。
この前の野球回が布石になったのは間違いない。あれは寄り道めいた横回だし、このやりとりも本筋とは関係ないとはいえ、それでもジワる面白さを提供してくれる。
ただ、もしかすると次回帰り道にて吸血鬼ハンターが登場し、久々にスポットが当てられるのかもしれない。そこで後方理解面ファンモブが「危ないっアンナさん!!」と声をかけそうな気がする。「あいつらアンナさんと一体何の関係が…?」とヘンテコなアンジャッシュも想像できる。
◆決着
滝川さんがアマチュアへ偏見を持つのは、彼の境遇が明かされれば決して無理はなかった。それでも結果的には自分自身を縛り付けるものとなった。
良い自覚として消化されたな、と。
元よりこの漫画は無駄にヘイト要員を出して漫画全体の格を下げるような真似はしないと信頼していたのだが、滝川さんは月山さんを直接傷つけないどころか、月山さんを気遣っているんだよな。直接の交流はまだないが、今週なら月山さんが対局後に疲れているのを気にしていたし、それがアマの理由ではないのかと推測していた。もうこの時点で滝川さんがお優しい方なのは火を見るよりも確定的に明らかである。
そんな月山さんも自分に負けないくらい必死なんだと、表情から理解かつ全身全霊で挑む滝川さん。仲田さん曰く「これまで見たことのない気迫と気強さを感じた」ほどに。
決着。
分かっていたことだが、残念ながら滝川さんの敗北となってしまった。だが、表情から満足そうだったのが伝わってくる。「ありがとうございました」はお互い言い合ったかもしれないし、先に滝川さんが言い放ったとも考えられそうだ。そんなふうに行間を読ませてくれる、爽やかな読後感があった。
約束された結末ではあるが、いざ決着を迎えれば滝川さんも今回の対局を通して救われた結末だった。アマだろうが関係なく全身全霊で挑む姿勢に立ち直れたのが最大の収穫だったと言えるのではないだろうか。
今週終盤、仲田さんの観戦記録で締めくくるのも良い読み味だった。
11歳からの知人として感情が入り込んでいる内容なので、そこは作中世界ではちょっと贔屓気味だとか言われてしまうかもしれない。勿論ぼくはめちゃくちゃオールオッケーである。友達として感情が入り込んでも全然良いだろうと。客観視はこの際二の次にしてまでだ。今回敗北となっても次回からの活躍に期待したいのは誰が見ても当然だと言える勝負だった。
月山さんが主人公らしく特異点な振る舞いをしつつ、対戦相手の滝川さんもキャラを立てていく。実にWin-Winの関係を築いてくれる、理想的な漫画だ。
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