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旅行記×機材レビュー | GRⅢとGRⅢxで撮る2週間のヨーロッパ旅行

こんにちは、こんばんは、Harushikaです。

9月に久々の海外旅行でヨーロッパを訪れ、 🇩🇪ドイツ、 🇨🇭スイス、 🇮🇹イタリア、 🇦🇹オーストリア、 🇨🇿チェコを約2週間かけて周りました。

まだ学生だった頃に訪れて以来、約10年ぶりのヨーロッパです。あの頃と比べて変わったことは多くあります。社会人になったこと、地元から東京に出てきたこと、彼女が妻になったこと。そして、写真を好きになったこと。

10年前もデジカメやスマホで写真を撮ってはいましたが、今と大きく異なるのは、写真に対する気持ちです。以前は記念や記録のために撮っていましたが、今は好きだから撮っています。写真やカメラに関する知識を得て、こだわりも持つようになりました。

旅と写真が好きな自分にとって、海外旅行ほど写欲をそそられるものはありません。しかも、ヨーロッパのような遠方へお金と時間をかけて行ける機会は稀です。

そんな旅の相棒に選んだのは、リコーのGRⅢ HDFとGRⅢx HDFという高画質なコンパクトデジタルカメラ。この旅行を見据えて購入したとっておきの2台です。ちなみに両者の違いは画角のみ。xの付いていない方が少しだけ広角です。

左:GRⅢx HDF 右:GRⅢ HDF

今回は、旅行記と機材レビューをミックスしてお送りします。

単に写真を添えた旅行記を書こうとも思ったのですが、この旅ではGRIII HDFとGRⅢx HDFをかなり使い込み、使用感や性能について感じたことが多くあったので、せっかくならカメラのことも語りたいと思い、この形になりました。その方が普段はモノに関するレビューが中心である自分のnoteらしさもありますし。

メインは旅で周った各地で印象的だった出来事について述べる旅行記の形で進み、所々にGRⅢ HDFとGRⅢx HDFについて感じたことを挟んでいきます。なお、カメラのスペック的な部分にはあまり触れず、実際に使い込んで感じた体験的な面を中心に述べるつもりです。

レビューに関する記述はグレー背景にしてますので、カメラには興味ないよって方は読み飛ばしてください。けど、写真はぜひ見ていってくださいね!

成田からフランクフルトへ

フライトは成田空港から。直行便でドイツのフランクフルトへ向かいます。出発前にオプションで申し込んだJALのサクララウンジを利用しました。長時間のフライトの前に広々とした空間でリラックスできるのは有意義でした。

成田空港のサクララウンジ

フライト時間は約14時間、ロシアの上空を通過できないため、北極側に迂回するコースでした。機内食で提供された無印良品のカレーが美味しかった。

フランクフルト国際空港には17時頃に到着し、フランクフルト中央駅まで鉄道で移動しました。駅の地下から地上階に出たときに感じたのは、久々のヨーロッパの空気だなという感傷とともに、あまり雰囲気の良くない駅だなという感覚。後から調べてみると、フランクフルト中央駅付近の治安はドイツ国内でも悪い方だったようで。まあ、西欧の主要駅付近の治安はどこも良くはないと思いますが。

フランクフルト中央駅

その日は駅構内でお腹を満たし、すぐ近くにある東横インに泊まりました。ヨーロッパに来てまで東横インに止まらなくても…と思うかもしれませんが、駅まで徒歩3分程度ですし、ブッフェ形式の朝食が美味しかったので普通にオススメ。

東横イン

10年前にミュンヘンを訪れた際に飲んだPAULANERのMUNCHNER HELLというビールが売っているのを見つけたので買って飲みました。記憶の通り美味しかった。日本でもカルディとかで気軽に買えるといいのに。

PAULANERのMUNCHNER HELL

翌日の朝、スイスのチューリヒに向かう列車に乗り込みました。

持ち運びの方法
ヨーロッパを旅する際に気をつけたいのがスリ。旅行保険に入っているとはいえ、10万円以上するカメラを盗まれるのはダメージ大です。それにGRⅢシリーズは入手困難ですし。
安全にカメラを持ち運ぶ方法を考え、行き着いたのはベストのポケットに収納することでした。ベストの上にジャケットを羽織れば、服の中に手を突っ込まない限りカメラや貴重品を盗むことは不可能です。
季節は限られますが、ベストに荷物を収納すれば手ぶらで行動できますし、安全かつ快適に高級コンパクトデジタルカメラを持ち運ぶための最適解を見つけました。
僕が使ったのはユニクロUのユーティリティベスト。上のポケットがGRⅢ/GRⅢxにピッタリなサイズで、出し入れもスムーズにできて快適でした。また、左右対称にポケットがあり、GRⅢとGRⅢxを両サイドに同じように収納できたため、左右のバランスをいい感じに保てました。
このベストはもう売り切れているかと思いますが、ポケットの数、位置、大きさを気にして選べば、他のベストでも同じようにGRⅢ/GRⅢxを持ち運べると思います。GRⅢ/GRⅢxの携帯性があってこそできることですね。

チューリヒ


チューリヒ中央駅に到着したのは昼過ぎ。その後は特に目的もなくのんびり散歩しました。市街地の規模はさほど大きくなく、メインの観光スポットは全て徒歩圏内。中世の街並みの中に教会や広場があったりと、ヨーロッパらしい空気感を十分に感じられました。

チューリヒ中央駅
街中
広場

リンデンホフの丘というチューリヒの街並みを見渡せるスポットがあり、昼と夕方の二度にわたって訪れました。夕暮れの景色の方がお気に入り。少しずつ暗くなっていく風景をベンチに座って眺める時間がとても心地よかった。派手な都市ではないですが、暗くなっても街の雰囲気は悪くなく、安心して過ごせる良い場所でした。

リンデンホフの丘からの夕景

スイスといえば物価の高さ。ビックマックが世界でいちばん高い国とも言われます。それはホテルを予約する際から感じていました。(相場はドイツの2倍くらいかな。)比較的リーズナブルな飲食店を探して食べたとしても、なんとなくガッカリする予感がするからと、食事は全てスーパーで済ませました。外食と比べると食品自体の値段はそれほど高くなく、駅前のCOOPというスーパーは品揃えも豊富でしたし、こっちを選んで正解だったと思います。

特に気に入ったのは、MÖVENPICKというアイスクリーム。どうやらスイスのハーゲンダッツとも呼ばれていたりするらしい。(値段もハーゲンダッツ級でした。)まろやかで濃厚でめちゃくちゃ美味しかったです。日本でも販売したら売れそう。またスイスを訪れたら絶対に食べたい。

MÖVENPICKのアイスクリーム

チューリヒには1泊だけして、翌日の朝早くに列車でイタリアのヴェネツィアへ向かいました。車窓から見える湖と山々が美しかったです。

チューリヒからヴェネツィアに向かう列車の窓から

オートかマニュアルか
GRⅢ/GRⅢxでスナップ写真を撮る際、露出設定をオートにするかマニュアルにするか、悩みどころのひとつだと思います。
この旅の最中は基本的に絞り優先オートにしていました。F値だけ手動でシャッタースピードとISOはオート。ボケ具合だけは自分で調整したいのですが、それ以外はカメラに任せ、なるべく気軽にテンポよくスピード感を持って撮るための設定です。ちなみに、シャッタースピードとISOは上限値と下限値を選べるため、極端な数値になることを避けることができます。
基本はオートで白飛びがないようにだけ気をつけてササっと撮りつつ、主に夜景など設定を追い込んで撮りたい場面ではマニュアルに切り替えていました。
マニュアルの方が自分の思い描いた写真に近くはなります。ですが、写真を撮ることに意識が持って行かれてしまい、その場その場を自然に楽しむことからは距離ができてしまいます。写真の完成度と旅を楽しむことのバランス的に、自分にとっては絞り優先オートがベストな設定です。

ヴェネツィア

ヴェネツィアに来たのは妻の強い希望からでした。僕は学生時代の一人旅で訪れたことがあり、二人の感動の度合いには差がありましたが、何度でも来たくなる場所であることは確かです。元ディズニーオタクの妻は「ディズニーシーみたい!」と感動していました。すかさず「逆だよ」とツッコミを入れておきました。

キャナルを行き交う船
リアルト橋

水の都ヴェネツィアはどこを切り取っても絵になります。写真を撮り始めると足が進みません。僕も妻も写真を撮るのに夢中でした。また、妻は外国語で他人に話しかけることに抵抗がない人間のようで、なんの躊躇もなく「二人の写真を撮ってくれない?」と何度も色んな人にお願いしてました。(撮ってもらった後、お返しにこちらも写真を撮ろうか?と忘れずに聞いてました。)

お気に入りの一枚
ゴンドラ

ヴェネツィアには2泊3日で滞在し、そのうち1日はヴァポレットという水上バスに乗って周辺の離島に行きました。ヴェネツィアングラスで有名なムラーノ島とカラフルな街並みが特徴のブラーノ島です。ヴェネツィア本島よりも時間がゆっくり流れているように感じました。キャナル沿いにある店のテーブルでコーヒーを飲む時間が至福でした。

ムラーノ島
ムラーノ島からブラーノ島へヴァポレットで移動
ブラーノ島

話は少し変わりますが、先日、新婚旅行で初めてヴェネツィアへ行くという職場の後輩がいたので、日が落ちてからGoogle先生の道案内にそのまま従うと怖い目に合うと伝えておきました。僕と妻が夜8時過ぎにサン・マルコ広場へ向かう際、Googleマップに表示されたルートを辿ったところ、暗くて狭くて誰もいない路地を歩かされたからです。暗闇で突然誰かに襲われたりしないかと恐怖のナイトウォークでした。これからヴェネツィアに行かれる方、夜は目的地までの方向感だけGoogleマップで確かめ、できるだけ人通りの多い道を歩くのをオススメします。

キャナル沿いのレストラン
リアルト橋からの夕景

怖い思いをして辿り着いたサン・マルコ広場の夜景は圧巻でした。レストランの前でバンドの演奏が行われており、無料で音楽を楽しむことができます。レストランの客に向けた演奏なのでしょうが、聞こえてくるのだから聞かない手はありません。光と音が印象的な夜でした。

サン・マルコ広場で聞くバンドの生演奏

サン・マルコ広場を楽しんだ翌日、これまでより少しだけのんびり起きて、列車でイタリアのボローニャへ向かいました。

水たまりに映ったサン・マルコ広場

操作の慣れ
GRⅢ/GRⅢxを買ってから、最も苦労したのが操作の慣れです。僕はカメラを初めてからほぼずっと富士フイルムを使ってきました。富士フイルムの機材の特徴は、F値を操作する絞りリングがレンズに付いていることです。
GRⅢシリーズには、この絞りリングがないため、F値をボディのダイヤルで操作することになります。ある程度は操作方法をカスタマイズできるのですが、この絞りリングだけはどうにもなりません。
富士フイルムユーザーだからこその悩みですが、この操作の違いに慣れるのが大変でした。身体に染み付いている動作を切り替えるのは難しい。咄嗟に存在しない絞りリングを操作しそうになったり、GRⅢシリーズにはないファインダーを覗き込もうとしたりてしました。
これに対する解決策は、とにかく使って慣れるしかありません。この旅行を通して約2週間毎日長時間使ったことで、ようやく無意識に近いレベルで操作できるようになりました。
もしあなたが富士フイルムユーザーで、この点でストレスを感じたくないなら、X100シリーズを買った方がいいかもしれません。

ボローニャ

観光地というほどでもないボローニャへ来たのは、ボローニャ国際空港から飛行機でオーストリアのウィーンへ飛ぶためです。

ヴェネツィアで朝から夜まで活動して体力的に消耗していたので、外出は少し街中を散歩する程度にし、ホテルでのんびり過ごす時間を多めに取りました。

飲食店と食品店が並ぶ細い道

ただひとつだけ、ボローニャでやりたいことがありました。ボロネーゼを食べることです。ボローニャと言えばボロネーゼ発祥の地。せっかくの機会に食べないわけにはいきません。

選んだお店は地元民なら誰もが知っているというOsteria dell'Orsa。安くて美味しい人気店らしく、店の前には行列ができていました。本場のボロネーゼは、平べったい麺が特徴の食べ応えある一品。挽き肉の存在感と麺のもちもちした食感が印象的でした。まあでも正直なところ、日本で食べるボロネーゼも同じかそれ以上に美味しい。

ボローニャのボロネーゼ

ボローニャに1泊した翌日の朝、空港行きのモノレールに乗ろうとしたところで事件は起きます。やけに混んでるなと思ったら、モノレールはしばらく経っても動かず、どうやら故障したらしい。いやいや、そんなことある?

係員はイタリア語で説明してますが、何言ってるかさっぱり分からない。同じく巻き込まれた人たちが移動しだしたので付いて行ってみると、どうやら代替のバスが来るらしい。来るらしいんだけど、15分待っても来ない。ということで仕方なくタクシーで向かうことに。

タクシー乗り場も混んでおり、列ができていました。しかもタクシーがスタンバイしている様子はなく、ちらほら来るのを待つしかなさそう。けっこう焦ってきた僕の隣で、妻は周りの人に「空港行くなら相乗りしよー!」って元気に声をかけ、見事にベルギー人の男女2人組を捕まえてました。メンタルの作りが違いすぎませんかね。

4人でタクシーへ乗り込み、雨の中を空港まで向かいました。もっと入念に下調べしておけばよかったのですが、2人以上ならモノレールよりタクシーの方が1人あたりの運賃は安かった模様。最初からタクシーを選んでおけばよかった。しかもモノレールの運賃まだ戻って来ないし。

これを読んでいるみなさん、ボローニャの中央駅から空港へ向かう場合は、最悪なマルコーニ・エクスプレス(モノレールの名前)ではなく、タクシーに乗ってくださいね。

結果的には若干の余裕を持ってチェックインと保安検査を終え、無事にウィーンに着きました。終わってみればトラブルも良い思い出です。

ウィーン国際空港へ到着

富士フイルムX100Vとの比較
今は手放してしまったのですが、GRⅢシリーズと比較されることの多い富士フイルムのX100Vを使っていたことがあります。(同シリーズの最新機種はX100Ⅵなので、最新世代からはひとつ前のモデルですね。)使用頻度が少なくてGRⅢ/GRⅢxを購入する前に売却しましたが、機能や体験の面では非常に良いカメラでした。
GRⅢシリーズとX100シリーズが比較されるのは、どちらもAPS-Cサイズのセンサーを積んだ高級コンパクトデジタルカメラだからです。(値段的にはX100Ⅵの方が2倍以上高いので、もはや簡単に比較できない気もしますが。)画質を左右する最大の要素であるセンサーサイズが同じなので、それ以外で差が出るとしたら撮影体験や携帯性の部分が大きいと思います。
撮影体験として優れている感じたのはX100Ⅴです。物理ダイヤルの操作感、ファインダーの存在、シャッターを押した時の感触、クラシカルな外観など、カメラで撮っている特別感をより濃く感じられます。
一方で、携帯性が優れているのはGRⅢ/GRⅢxです。シンプルに軽くて小さい方が持ち運びの負担が減ります。カメラで撮る機会があるか不確かなとき、とりあえず持っていこうとなるのがGRⅢ/GRⅢxで、ならないのがX100Vです。
撮影体験と携帯性のどちらを優先するかは人それぞれですが、僕がコンデジに求めるのは携帯性です。画質(センサーサイズ)が同じなら、持ち歩く際の負担が少ない方が嬉しい。今回の旅のように2台を持ち歩くという選択肢があるのも、軽くて小さいGRⅢ/GRⅢxだからこそです。

ウィーン

曇天のボローニャから一転、ウィーンは快晴でした。午前中に起こったモノレール事件が嘘のような清々しさ。10年前に訪れたシュテファン大聖堂の前に立つと、当時を思い出してなんだか感慨深い気持ちになりました。

シュテファン大聖堂

実は当初、ウィーンを観光する予定はなく、飛行機で到着したらすぐに鉄道でハンガリーのブダペストへ向かうはずでした。ところが、僕らがウィーンに到着する数日前、ヨーロッパを襲った100年に一度と言われる大雨によりドナウ川が洪水に陥り、乗る予定だったブダペスト行きの列車が運休となってしまいました。

ヴェネツィアにいる時点でその情報をキャッチしていたので、ブダペストに行けないことは残念でしたが、予定と気持ちを切り替えて10年ぶりのウィーンを楽しむことにしました。

数日前までウィーン市内も洪水に襲われていたとのことでしたが、中心街を歩く限りでは、その影響を感じることはありませんでした。空港から中央駅へ向かう列車が運休だったため、バスで向かうことにはなりましたが。

ウィーン名物のシュニッツェルを食べました。分かってはいましたが、びっくりするほど大きいです。食べ始めは美味しいのですが、だんだんと完食することに必死になってきます。最後は気合いと根性でなんとか食べ切ることができました。

ウィーナーシュニツェル

ハプスブルク家の歴代皇帝が住んでいたホーフブルク宮殿の一角にあるオーストリア国立図書館を訪れました。なにかしらマンガやアニメのモデルになっていそうな場所です。

オーストリア国立図書館

夕暮れ時、ドナウ川沿いを散歩しました。普段の姿を見たことはないですが、それでも通常より水に浸かっている範囲が広いだろうことは分かります。普段なら川を行き交っているであろう遊覧船も、全て川岸に止まっており、大雨と洪水の影響が見て取れました。

アッシジの聖フランチェスコ教会

ウィーンには一泊し、次の日の朝、チェコのプラハへ向かいました。ウィーン中央駅から列車に乗ったのですが、駅とその周辺は10年前から大きく姿が変わっていました。どうやら再開発が行われ、駅舎も新しくなっていたようです。夜行列車を待ったあの場所がもうないのかと思うと、少し寂しい気持ちになりました。

ウィーン中央駅

28mmか40mmか
GRⅢとGRⅢxの違いは画角です。GRⅢがフルサイズ換算28mm、GRⅢxがフルサイズ換算40mm。どちらの方が自分に合っているのか、この旅を終えたときの撮影枚数で判断できるのでは?と思っていました。結果、撮影枚数はほぼ半々。全く意識していなかったのですが、どちらも同じ頻度で使っていたみたいです。
ただ、撮っている写真に傾向はありました。28mmは風景や屋内の写真が多く、40mmは妻を写した写真が多かったです。聖堂の中など限られたスペースでなるべく全体を写そうとすると広角を使いますし、ポートレートを撮る際はもう少し望遠寄りの方が人物を際立たせやすいと無意識的に感じていたのだと思います。
どちらの方が自分に合っているかという問いに答えは出ませんでしたが、1人で出かけるならGRⅢ(28mm)、誰かと出かけるならGRⅢx(40mm)という使い分けはできそうです。
ひとつ確かなことは、両方とも買って正解だったということ。片方だけ買っていたら、「もう一方にしとけばよかったかも」という気持ちになる場面があったに違いありません。そんな気持ちに水を刺されることなく、いい気分で旅をできたのはどちらも持って行ったからです。

プラハ

プラハで過ごす時間は当初の予定よりも長くなりました。ハンガリーのブダペストへ行けなくなり、プラハに滞在する日程を伸ばしたからです。

街中

プラハに対する最初の印象は、スーツケースがめちゃくちゃ引きにくい、でした。今まで旅したヨーロッパの中でもダントツに石畳の凹凸が激しくてなかなか前に進まず、ホテルまで一苦労でした。しかし、逆に言えば中世の街並みが残っている証拠でもあります。何気ない道をただひたすら歩いているだけで楽しいような街でした。

カレル広場
カレル橋からの景色

ホテルのロビーには見覚えのあるモグラのぬいぐるみが置いてありました。幼い頃、母に何度も読み聞せしてもらうほど大好きだった絵本「もぐらとじどうしゃ」に出てくる主人公です。ここだけでなく、どのお土産やさんでも彼のグッズを見かけました。さすがはチェコの国民的キャラです。

モグラのクルテク

プラハに着いたのは旅が始まってから1週間ほど経った頃。そろそろ洋食が嫌になってきたから米が食べたいという妻の希望で中華を食べに行きました。久々に食べたアジアの味はとてもおいしく、もう一度食べに行ってしまいました。米が恋しくなってしまうのは日本人の性ですね。

Guilin Chinese Restaurant

中華からの帰り道、ぼんやりと明かりが灯る建物を見つけたので、雰囲気にそそられて入ってみました。そこはプラハ・マサリク駅というプラハで2番目に古い駅でした。少し薄暗い駅舎はなぜか居心地が良く、しばらくの間ベンチに座ってボーッとしていました。有名な観光スポットではないのだろうけど、僕にとってはプラハで一番お気に入りの場所でした。

プラハ・マサリク駅
プラハ・マサリク駅

夜のプラハは、街灯のオレンジ味が強いせいか西欧の街とは雰囲気が違い、なんとなく旧共産圏の匂いがしました。夕暮れから夜にかけての散歩も楽しい街です。

プラハ・マサリク駅の周辺

歩きながら見る街並みも素敵ですが、高い場所から見下ろす景色も最高でした。街から少し離れた場所にあるペトシーン展望台。高台まで坂道を歩き、展望台の階段を登り、たどり着いた最上階からはプラハの街を一望できます。プラハでの滞在期間が伸びたからこそ見れた景色でした。

プラハの街並み

チェコ出身の有名なアーティストといえばアルフォンソ・ミュシャ。日本でもかなり人気がありますね。特にファンというわけでもないのですが、僕も企画展を見に行ったことがあります。そんな彼が手がけたステンドグラスがある聖ヴィート大聖堂を訪れました。プラハ城の敷地にある建物です。ミュシャが手がけたもの以外にも、聖堂内には多くのステンドグラスが施されており、360度どこを眺めても美しい場所でした。ステンドグラスの色が壁面に揺らめいていたのが印象に残っています。

聖ヴィート大聖堂
ミュシャの手がけたステンドグラス

プラハを発つ前日の夕方、カレル橋の端にある塔へ登りました。そこから見えたのは、カレル橋とプラハ城の向こうに夕陽が沈んでいく美しい景色。これを妻と一緒に見れたことは一生の思い出になりました。橋の上からは音楽が流れ、プラハ滞在の締めくくりに相応しい最高なひとときでした。

橋塔からの夕景

橋塔から夕陽を見た翌日、列車に乗ってドイツのベルリンに向かいました。

ピクチャープロファイルについて
GRⅢ/GRⅢxには、全12種類のイメージコントロールというピクチャープロファイルが搭載されています。その中で自分が使っているのを使用頻度順に並べると、スタンダード、ポジフィルム調、ネガフィルム調、ビビッドです。基本はスタンダードでRAW現像し、スタンダードだと微妙だなと感じたら他のピクチャープロファイルを使っています。
趣味でやっている限り、これは個人の好みかと思いますが、自分はバランスが取れているスタンダードが好きです。ポジフィルム調やネガフィルム調に比べ、あっさりしているのが良いのだと思います。ドラマチックにしたいときはポジフィルム調、シックな雰囲気にしたいときはネガフィルム調を使うことも多いです。
JPGで保存している画像も基本的にはスタンダードでしたが、ヨーロッパの街並みとはネガフィルム調の相性がいい気がして、旅行中はネガフィルム調をカスタムして使用していました。
ピクチャープロファイルとは話が変わりますが、GRⅢ/GRⅢxの写りは解像度というかキレが良すぎてデジタル感が強いので、それを抑えるために内蔵しているHDFフィルター(ソフトフィルター)は常にオンにしています。外付けフィルターなしで優しい写りにできるのはHDFモデルならでは。最高に気に入っているポイントです。

ベルリン

フランクフルトから日本へ帰る飛行機に乗るのですが、プラハからフランクフルトまでは時間がかかるため、途中でどこかを経由しようと思い、そこで選んだのがベルリンでした。

半日という限られた時間の中で、見に行ったのはブランデンブルク門とベルリンの壁という2大観光スポット。ブランデンブルク門に関してはあまり印象がないのですが、アートの描かれたベルリンの壁を1.3kmにわたって見ることができるイーストサイドギャラリーは見応えがありました。

ブランデンブルク門
ベルリンの壁

ベルリンの名物だというカレーヴルスト。カレー風味のソーセージです。日が傾いた頃、アレキサンダー広場を眺めながら、そろそろ旅も終わりかと思いながら食べました。ファストフードですが普通においしかった。

カレーヴルスト

ベルリンからフランクフルトへの列車がこの旅で最後の長距離移動です。初めて食堂車に行ってみました。人で溢れかえっているようなこともなく、とても居心地のいい空間でした。車窓から風景を眺めながらコーヒーを飲む時間はなんだか心が満たされました。

食堂車でコーヒー

メインかサブか
小型カメラの使い方としてよく挙げられるのがサブ機として使うこと。レンズ交換式の一眼カメラをメインに使い、そのサブとしてコンパクトデジタルカメラを持っていくというものです。
自分にとってGRⅢ/GRⅢxはメイン機です。理由は単純。サブとして持って行っても使わないから。富士フイルムのX-T4というレンズ交換式のミラーレス一眼カメラを持っており、かつてX100Vをサブ機として両方を持ち歩いていましたが、X100Vを使う頻度がめちゃくちゃ少なかった。持ち替えるのが面倒というのもあるし、手に持っているカメラで撮れる絵を撮ろうとするからです。GRⅢ/GRⅢxでも同じことが起きると思います。
単焦点レンズなので画角は限定されてしまいますが、GRⅢ/GRⅢxはメインとして使うのに十分な画質を持っています。サブ機にしていたずらに荷物を増やすより、GRⅢ/GRⅢxの携帯性を活かして写真を撮るのがいいと思います。
ただ、メインとサブの関係でいうなら、GRⅢ/GRⅢxをメイン機、スマホをサブで使うのが最適解な気がしてます。例えば、iPhone 16 Proには、13mmの超広角レンズと120mmの望遠レンズが搭載されています。どちらもGRⅢ/GRⅢxではカバーできない画角です。APS-Cやフルサイズのセンサーを積んだカメラとは差があると思いますが、サブ機という位置付け的には十分だと感じています。
スマホは写真を撮る撮らないに関わらず持ち歩くので、サブ機のせいで荷物が増えるようなことにもなりません。iPhone以外にも、例えばLeicaとコラボしたXiaomiなど、カメラに力を入れているスマホは多くあります。これからは、サブ機という視点でスマホを選ぶものアリですね。(Xiaomi 14 Ultraほしい。)

フランクフルト

帰りの飛行機に乗るため、フランクフルトに戻ってきました。何かあったときにリカバリーできるよう日程に余裕を持たせてフライトの前日に到着したので、フランクフルト市内を見て回る時間は十分にありました。

レーマー広場

またも東横インに泊まった翌日、レーマー広場を見たり、ソーセージとザワークラウトを食べたり、お土産を買ったりして過ごしました。MyZeilというショッピングセンターは近代的かつ特徴的なインテリアをしていて写真を撮っていて楽しかった。けっこう建築物を撮るのも好きなんですよね。

ソーセージとザワークラウト
MyZeil

近代的な建物ばかりのフランクフルトでは珍しく歴史のある建物らしいカフェ・ハウプトヴァッヘでアップルワインを飲み、フランクフルト国際空港へ向かいました。

カフェ・ハウプトヴァッヘ

これで旅も終わりかと思うと寂しい気もするし、日本でいつも通りの日常を過ごせるのが嬉しい気もします。矛盾した気持ちが入れ混ざった不思議な感情でした。住みたいとは思わないけれど、1年に一度くらいはヨーロッパを訪れたい。もっと気軽に行けたらいいのに。そういう環境に身を置けるよう自分自身が頑張っていくしかないかと思い、なんだか妙にやる気が出た長い帰り道でした。

旅とGRⅢ/GRⅢxの相性
旅とGRⅢ/GRⅢxの相性は最高でした。僕の場合、撮影が目的なら話は変わりますが、旅行を楽しむことが目的ならカメラは軽くて小さいことを優先します。2泊3日以上なら、迷わずレンズ交換式のミラーレス一眼カメラではなくGRⅢ/GRⅢxを持っていきます。
自分は荷物を持つのが大嫌いなので極端な例かもしれませんが、誰しも荷物が少ないほど足取りも軽くなると思います。この旅行を快適に過ごせたのは、富士フイルムのX-T4ではなくGRⅢ/GRⅢxを選んだから、というのも大きな要因でした。
スマホでGRⅢ/GRⅢx並の写真が撮れれば最高なのですが、技術の進歩がそこに至るまでにはまだ時間がかかりそう。少なくとも現時点では、自分の満足できる画質を最も小型軽量で実現してくれるのがGRⅢ/GRⅢxです。
GRⅢとGRⅢxを一緒に持ち歩けば、どちらかにトラブルが起きたときのリスクヘッジになりますし、異なる二つの画角で撮れますし、バッテリーの消耗を抑えることもできます。2台でも重量的に負担にならないGRⅢ/GRⅢxだからこそできた運用でした。
重さや大きさという面で負担が少なく、軽い気持ちと足取りで納得のいく高画質な写真が撮れるGRⅢ/Ⅲxは理想的な旅の相棒でした。

終わりに

雨の中フランクフルトを飛び立った飛行機は無事に成田空港へ着きました。これでこの旅行も終わり。無地に行って帰って来れたことが何よりです。最高の思い出になりました。ハンガリーのブダペストに行けなかったのが心残りなので、次の機会には絶対に訪れたい。その際もGRⅢ/GRⅢxを持っていくか、それとも別のカメラを持っていくか、どっちか分からないけれど、きっとカメラは持っていくんだろうと思います。ではまた。Harushikaでした。

プラハのホテルから見下ろしたトラム

この旅行に持って行ったガジェットを紹介しました。

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