もう11月なのに・・・
10月期のドラマも折り返しの時期。
それにしても、今年は何と暖かい晩秋だろう。
このクールは、「3000万」と「宙わたる教室」、「全領域異常解決室」が待ち遠しい。
「3000万」は、偶然交通事故に巻き込まれた家族が、目の前の大金を盗んでしまったことから、金を盗んだ犯罪組織と警察の両方から追い詰められていくクライムサスペンス。
もし大金が目の前に転がってこなければ、もしお金に困っていなければ、主人公の夫婦が一線を越えることはなかっただろうと思う。
そういう夫婦だから、もう一線を超えてしまったのに、その線の前で止まってあたふたし、逡巡する。だがそんな彼らをよそに、事態があまりにも悪い方へ悪い方へと転がっていくものだから、他人事のこちらはその様を滑稽にすら感じてしまうのだが、特に安達祐実演じる、悪人ではない、どこにでもいる、家計をやりくりするのに疲れた妻が、過ちを犯していく描写は実にリアルで、いくつかの条件がそろってしまえば、誰もが一線を越えてしまいかねないと、怖くなる。
テンポが速く、常に予想もしない展開をみせているだけに、一線を越えてしまった彼らが行きつく先も全く想像がつかないが、最後までしっかり見届けたい。
さまざまな事情を抱え、年齢もバラバラの定時制高校の生徒たちが、かつて第一線で研究をしていた理科教師に導かれて科学部を結成し、学会発表を目指す「宙わたる教室」。
彼らの抱える事情は、現在の社会や学校、教育をとりまく状況がよく反映されており、登場人物の繊細な心の動きや人間関係が丁寧に描かれている。
こうした人間ドラマは日本のドラマが得意としてきたところだが、一方で、この作品は少し前までの学園ドラマのように、癖の強い教師が生徒を巻き込み、引っ張って彼らを変えていくというものではない。
理科教師に限らず、教師たちはみな適度な距離を保ちつつ、生徒たちにそっと寄り添う。学会発表のテーマも、教師が決めるのではなく、彼ら自身に自由に決めさせようとする。
そんな教師と生徒の関係に、いまの時代を反映した新しい教師と生徒のあり方を感じる。
彼らが化学反応を起こした先に、どんな景色が待っているのか、それが今から楽しみだ。
最後に、古来よりあらゆる超常現象の調査や捜査をおこなってきた謎の機関が、現代の異常事件を解決していく「全領域異常解決室」。
結構突飛な設定ではあるのだが、一般人代表のような広瀬アリスの存在のおかげで、段々そんなものも、そういうこともあるのかな、と受け入れられていく。
前半は超常現象かと思われた事件が、実は普通の事件であったと1話完結で解き明かしていたが、中盤に来て、ついに科学では説明のつかない話に展開。
がぜん面白くなってきた。
科学では説明のつかない事件が出てくる作品というと「SPEC」を思い出すが、この作品は普通ではない力を持つ、日本古来の八百万の神々が普通の人間に交じって暮らしているという、「SPEC」とはまた一味違う感じの世界観なのがいい。
謎の神・ヒルコの正体と、ヒルコとの戦争の行方が実に楽しみ。
この他にも「オクトー season2」や「天狗の台所 2」など、続編でも相変わらず面白い作品があり、このクールはかなり忙しく楽しませてもらっている。
*この記事は俳優さんの敬称略にて失礼しました。