『新年』
年が明ける。夜中までテレビを見て、白味噌のお雑煮を作ってから寝る。
お雑煮の具は赤い人参、大根、うすあげ、丸餅。
元旦の朝、起きると毎年思う。また一年やっていくのか…春が来て、夏が来て、秋が来て、また冬が来る。それらに対して自分はどんな行動をしていくんだろう? そう思うと、何かのしかかるものがある。
そして、毎年だと親類に会う。誰がどこに進学したとか、何年になったとか煩わしく思う。
今年は、違う。
今年こそは。そう、今年こそはと言う気持ちが強い。
親類に会わずとも、自分らしいお正月を過ごすのも良いものだ。
そういえば、元旦から神社で参拝者の誘導をしたことがあった。天気は良かったが、足の裏が痛いほどよく冷えた日だった。露店からイカ焼きの匂い、ベビーカステラの甘い匂い、全国的に有名な神社なので朝から夜にかけて大勢の人だ。こんなにたくさんの人が休日で来ているのに自分は、なにやってるんだろう。いや、いや仕事。お金も必要だ、と自分に言い聞かせた。しかもそこは、自分が毎年子供の頃からずっと初詣の参拝に来ていた神社だったな。なんて事を思い出す。
大晦日の夜、片付けた物をゴミ袋に入れてベランダに置こうと、窓を開けて外に出ると雪が溶けた冷たい風に薄着の自分の体は、肩をすくめる。
そこから見える家々の明かりがたくさん灯っている。皆、帰省もせずに各家庭で年越しなんだろう。
空を見上げると、空気に小さな星がいっぱい輝いていた。
それは、綺麗な真新しく清んだ新年の夜空があった。