優しい西陽
久しぶりに街に出た帰り、電車に乗ると、その車両は弱冷車で乗車している人も少なく、長い緑のシートはほとんど空席で少し肌寒いくらいだった。
電車の進む向きによって、緩やかな西陽が私の座る窓側から差し込んだり、またその反対側の窓から差し込んだりした。その度に西陽を避けて移動する乗客もいた。
電車の窓から見える景色が繁華街から工場やオフィスビルが立ち並び、そのうち巨大なマンションが立ち並ぶ。そして戸建が並び、各停まる駅ではショッピングモールなどがあってひらけている。
電車は進み、あるマンションを通り過ぎた。
以前、そのマンションに住もうか迷った頃があった。
もし、住んでいたらまた違った生活があったかのな? あそこのほうが都会からも近かったし。 でも今はもう後悔していない。
車窓から緑いっぱいの木々が風に揺れて西陽の太陽でキラキラして美しかった。
こんな光景を見ると子供のころに従兄弟の家に行った時、その家にちょうど今頃の西陽があたっている、そんな場面をなぜか思い出して、自分の子供の頃の気持ちになってしんみりしてしまう。
自宅近くの駅に着くと、何だかホッとする。やっぱり住み慣れたこの町が好きかもしれない。
寝る前に、片付けをする時に曲をききながらする。
朝もラジオを聴きながら。
それ以外は、テレビを観ている。
そう思うと、外から入って来る音がずっとだ。そんなながらなしで、家の作業して自分を見つめ直す時間が減った気がする。
敢えて作らないとな。
自分に問いたいから。
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