コミケのない2020年を同人業界は生き残れるか?
コミックマーケット99の2020年内開催がなくなりました。
2021年GWでの開催に向けて、調整していくようです。
もともとコミックマーケット98は、2020年のゴールデンウィークに四日間開催予定で、夏にオリンピックがあり、冬にコミケ通常開催(三日間)となる予定でした。
2021年のオリンピックもコミックマーケットも開催は確定していませんが、まるまる1年間スケジュールが延期です。
この1年の延期で、同人界隈はどうなっていくのが、予想をまとめてみましょう。
【イベント運営】
イベントを開催してくれる運営がいなければ、表現の場はなくなってしまいます。
基本的にボランティアに支えられた活動ですので、コロナ禍のダメージは深刻なものです。
イベントを開催しなくても、常駐スタッフの給料だったり、事務所の家賃、公式サイトのサーバー維持費等、日々結構な金額がかかっているのです。
例えば一次創作イベントの代表であるコミティアは、
『2020年内のすべての開催ができなくなると、今後の継続が難しくなる』
と発表しています。
*クラウドファンディングで資金調達をするようなので、私も支援するつもりです。
大規模イベントはもちろんですが、中小規模イベントの存続もかなり危ういです。
これらがなくなってしまうと、地方イベントがほとんど消え去ってしまい、創作と発表の場がなくなってしまいます。
しかも、中小イベントは同人誌を頒布するだけの場所ではなくなっています。
バラバラに進学した友達とイベント会場で同窓会感覚で再会してる人もよく見かけます。
イベント後のアフターお茶会があることによって、数ヶ月おきに友達と会えるチャンスがあるというのは、なかなか貴重だと思っています。
ネットが発達したとはいえ、同好の友とリアルの場で会えるのは大切な経験です。
【印刷会社】
かなり心配なのが、印刷会社さんです。
ほぼ全ての同人サークルがお世話になっているであろう印刷会社も、社員を抱えているのでかなり大変なことになっているようです。
コミックマーケット98が中止されただけでも阿鼻叫喚の騒ぎだったのに、さらに2020年内開催中止となると、かなりギリギリ、もしくは継続できなくなってしまう印刷所も出てくると思います。
日本がいかに同人サークルにとって恵まれているか……。
海外では個人に向けて数百部単位で印刷してくれる印刷所はほぼありません。
日本にいるだけで相当に恵まれた環境にいるのです。
同人印刷所が減ってしまったら、今後のイベント開催直前に入稿しようとしても「もう予約でいっぱいです」と、印刷すること自体ができなくなってしまうかもしれません。
印刷作業スタッフの人数をコミケの時期に合わせて増やすことができても、印刷機を増やすことができません。
なのでコミケがない時期であっても印刷機はあるので、できるだけ動かせるように仕事をとって来なければならないのです。
同人サークルは、それぞれ思い入れのある印刷所があります。
初めて印刷した会社だったり、
カラーの出力が好きな会社だったり、
自分の地元の会社だったり、
モノクロの再現度が高い会社だったり、
担当さんと仲が良い会社だったり……
そんな大切におもっている印刷所が存続の危機にさらされているのは、同人サークルにとっても心苦しいものです。
何らかの形で支援できる方法があればいいのですが……。
【同人サークル】
全体の90%以上のサークルは収益で黒字を出していないので、本を刷らなければ潰れることはないでしょう。
しかし……『同人作家というものは、締め切りがないと描けないもの』だというのも……事実です。
実際コミックマーケット98の当落発表があった時、本当に開催がされるのか不透明な状態が続きました。
予定通り開催されるのであれば、当然のことながら原稿を進める必要があります。
しかし、私の周りの作家さんを見ている限り、
「どうしても原稿に集中できない」
「モチベーションがあがらない」
「やるかやらないのか早くはっきりしてほしい」
という意見が多く見られました。
「時間があるんだから今のうちに原稿を書き試しておいて、次回コミックマーケットが開催された時にたくさん新刊を出せばいい」
理想を言えばそうなんですが……難しいでしょうね。

さらに2021年、どうなるのか?
宿泊費・交通費の値上がり
地方に在住している同人サークルの皆さんは、コミックマーケットに合わせて関東のホテルを予約すると思います。
しかしホテル業界は今大ダメージを負っているので、宿泊料金は相当の値上げが予想されます。
交通機関も同じです。
東京都内の電車を値上げを検討していますし、航空会社もこのままいくと倒産の危機があり、すると競合相手が居なくなった運賃は値上がりします。
同人誌価格の値上がり
さらに、サークル参加費も値上がりするでしょう。
これはイベント存続のために必要なことでもありますが、ギリギリプラマイゼロでやってきたほとんどのサークルにとって、かなりの出費です。
ここ数年クロネコヤマトの送料値上がりや、コミケ会場での荷物引き渡し運賃の値上がりが、とてつもないことになっていました。
消費税も上がりました。
同人誌に消費税関係ないとおもっている方もいらっしゃいますが、資料の本やお絵かきソフト、送料、すべての費用が上がっています。
同人誌の頒布価格が高くなることは、避けられないとおもいます。
これは、見えていない部分(つまり紙の本の印刷代以外の部分)でかなり負担が増えるので、ご理解ください。
その一方で、会場でのお釣りの受け渡しの速度や、手渡しする頻度を減らすことも考えると、簡単に値上げもできない悩みもあります。
お釣りトレーを使うなど、対策はあるとはいえ……
300円→500円
この値上げならば列がはけるのも早いし、お釣りの手渡し回数も減るでしょう。
500円→700円
しかしこうなると、むしろお釣りの問題が発生してしまうのです。
500円→1000円
値上げしすぎても、その価格に見合った本なのか、高すぎるんじゃないか……。
こんな悩みが生まれます。
電子マネー決済が導入できればいいのですが、WiFi環境を整えないと使えなかったり、入力ミスがあったり、慣れない操作によって余計に時間がかかってしまったり……なかなか難しいです。
一般参加者も厳しい
一般参加者も同じです。
地方在住者にとって、交通費や宿泊費は相当な痛手となります。
単純な話、旅費を10,000円抑えることができれば、500円の同人誌を20冊多く買うことができるのです。
さらに同人誌価格も上がるとなると……きついですね。
委託価格も上がりますし。
また、今まで通りの一般参加方法はできなくなると思われます。
人と人の感覚を確保するとか、
フェイスガードをつけるとか、
体温を測るとか
いろいろな対策は考えられますが、会場の中に入れる人数がかなり制限されるのは想像に難くないです。
実際、2020年7月12日に赤ブー主催で行われたインテックス大阪のイベントでは、各ホールに入場する際に引換券を出すことによって、ホール内に何人がいるか把握して対策をしていました。
どんな対策が有効なのか、また実施が可能なのか……
やってみないとわからないことが多いので、少しずつ知見を重ねていって、今後に役立って欲しいと思います。
特に参加者が多いコミケではどうなるんでしょうか?
入場チケット方式になるのか、ホールごとに入場人数を制限するのか……。
転売などの問題も発生しかねません。
色々と書いてきましたが、2020年がクリエイター にとってかなり厳しい一年であることは間違いないです。
商業誌も書店に足を運ぶ機会が減ってしまったし、アニメイトなんかも入場制限していたりします。
もし同人イベントや同人サークルさんを支援したい、と思ってくださったら、
支援クラウドファンディングや、作家さんの通販などで購入してくださると、助けになると思います。
早くコロナ禍がおさまって、表現の場が戻りますように。
当サークルの通販もあるので、よかったらのぞいてください!
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