バイデン政権の苦闘と成果
1. バイデン政権の難問と苦闘:解けぬRubic Cube
ーバイデン政権の直面する難問:Rubic Cube?
・バイデン政権の目の前には今、4つの難問が絡み合っていてそれを解けるかRubic Cubeの如し
・3.5兆ドルの経済社会政策予算
民主党のとくに左派勢力が強く推す大規模な経済社会政策予算。雇用、環境、教育など総合財源は主として企業と富裕層への増税措置。それらを一括して下院で通過を図る。ところが民主党の中道派議員の強硬反対で通過のメド立たず。
・1兆ドルのインフラ法案
雇用のためのインフラ整備政策予算。8月に上院超党派議決。財源措置含まず。民主党の左派勢力は、上記の3.8兆ドル予算を下院通過させねば、この予算通過阻止。
・財政債務の上限
バイデン政権の積極財政支出で、アメリカ財政制度特有の「財政の天井」に接近。財政天井引き上げがなければ、10.18.には財政破局。本来超党派対応に共和党協力せず。
・スタグフレーションのおそれ
21年春以来の高インフレがなかなか沈静化せず、金融緩和抑制論が高まる。一方、失業率も十分に下がらず、スタグフレーション化が懸念。インフレと金利引き上げ下の景気後退は、政権維持のためにも回避必要。
・Rubic Cubeをどう解くか
以上のように複雑に絡み合ったRubic Cube状の難問は解けるのか、解けねばバイデン戦略はどうなるのか、を考える。
ー3.5兆ドルの経済社会政策予算
・3.5兆ドル法案:子育て・教育支援、気候変動対策拡充など多様な政策(385兆円)を企業や富裕層増税で賄う民主党の看板政策。民主党急進左派悲願の政策。左派支持確保に不可欠。
・特別財政調整措置を使い民主党単独で成立可能なはずだが、民主党中道派J.マンチン上院議員は政府債拡大や増税を懸念し、規模縮小を求める。マンチン議員が造反すれば上院通過は困難。
ー1兆ドルのインフラ整備法案
・上院超党派のインフラ投資法案。8.月.69:30で可決。増税反対共和党合意優先。増税財源不問
・民主党左翼勢力数十人(代表格:プラミラ・ジャヤバル下院議員)3.5兆ドル法案の可決が先決。
さもなければ1兆ドル法案を人質にして成立妨害(賛成せず)。
・両法案:民主党上院マンチン、下院ジャヤバル議員の妨害で、当面成立見通し立たず。
2. バイデン政権の難問と苦闘2:政策、財政、景気
ー財政債務の上限
・近づく財政債務の天井:連邦政府は8月以降、新たな借金ができておらず、財務省は手元資金が10月中(18日)には枯渇するとみている。
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