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【覚えている人がいる限り】
すう、と膨らませた肺に、新鮮な朝の空気が流れ込む。背後には、川の流れる音。さらさらと穏やかな音をたてて、高きから低きに流れる。
キセキレイの子どもが、水を飲みに岸辺に降り立つ。その上空を、1羽の鷹が低く舞っていた。食う、食われる。流れ、流される。至極ありふれた光景を他人事のように眺めながら、すぐ横でたゆたう水槽の金魚を、ちらりと見やった。安全な囲いと、圧倒的支配。果てしない自由と、死が隣にある日常。ヒトは、この両者の境界線の上に立っている。どちらの幸福を欲するかにより、同等のリスクも背負う。幸福だけを享受したいと誰もが思うのに、その願いは叶わない。
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海のことば、空のいろ
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少し深めのエッセイ。創作にまつわるエピソード。時々、小説。 海の傍で生きてきた私のなかにある、たくさんの“いろ”と“ことば”たち。より自…
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