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暗いと怖くて、明るいと眩しい。幼児のような駄々をこねる私は、いつも恋人に愛想を尽かされる…
私がはじめて出会った西加奈子作品は、『さくら』だった。
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朝がきたら、少しは楽になると思っていた。けどちっともそんなことはなくて、雨戸を開けて風…
泣くのを我慢していると、喉の奥がぐうっとなる。熱くて苦い塊が詰まって、そこから抜け出せ…
時々、無性に焦がれる。ほしくてほしくて溜まらないのに永遠に手に入らないものを、ただじっ…
波音を聞きながら、空の色が変わりゆくのをただ眺めている。頭のなかでひっきりなしにあらゆる物事が浮かんでは消え、何度かそれを反芻しているうちにすべての輪郭がぼやけた。
ゆらゆら揺れる金魚の尾びれ。重なる色と光。 「きれい」 呟いた声が、変化する色と重なっ…
「お前、面倒くさい」 「面倒くさいから、浮気したの?」 「そういう返答が面倒くさいんだよ」…
「もう切ろうか」 そう言うと、眠たげな声で「やだ」と駄々をこねる。子どもみたいな言い方…
繋がったイヤホンマイクから漏れ出す、規則正しい寝息。酔っ払ったときしかイビキをかかない…
失ったものを、ただぼんやりと眺めている。その時間は、何も得るものがない。それでも私は微動…
「奉仕もできないとか、もはや寄生虫でしかないよね」
そのお店は、商店街の曲がり角にひっそりと建っていた。ガラス窓に張られた手製の紙に並ぶ不揃いな文字。そこには、こう書かれていた。 『雑貨、焼き物、お安くなっています』