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雨と珈琲とめがね

私がよく行く、昔ながらの喫茶店で
よく遭遇する人がいる

って言うか
同じ時間にわたしが行ってるだけだけど

その人は雨の日に来る事が多い
黒縁のめがねのその人は
いつも店の隅に座って
分厚い本を読んでいる
珈琲の湯気が彼を包んで
その空間だけ
別次元のように
時間がこちら側とは違う気がした

夜の10時前のそこは
私にとっては
残業終わりのバス待ちに珈琲一杯飲むところ
忙しく一日を終えて、ほっとする時間

この店に初めて来たのは
珈琲の良い香りに誘われて
ちょっと路地から外れて
人も少なそうな古い感じの喫茶店
こんな感じを純喫茶と言うのだろうか?
チェーン店にはない
なつかしいような場所

マスターとバイトの子がいるだけの
小さな店が気に入って
ここで珈琲を飲んで帰るのが
私のルーティンになった

そこで見かける彼が
謎すぎて
今のところ
私の関心のある最大重要人物
私の中の事件である

雨の日によく来るめがねの彼
いつも本を読んでいるので
わたしの短い滞在時間では
分析不可能だけど

彼がそこにいるだけで
そっと見てるだけで
優しい時間を過ごせる

お店の入り口のドアには
小さな可愛い音のするカウベルが付いている
お客さんが出入りする度に
カランコロンと鳴る

私は音がする度に
そちらを見てしまう
めがねの彼は本に集中しているので
見ることはないだろう

その日入ってきたのは
キレイなワンピースを着た女史
サッと彼の前に座った
彼は顔を上げて笑った

ドキッとした
初めて顔を見た
優しい目をした
キレイな男子だった

笑顔が素敵なめがねの彼
そして
彼女は誰なんだろう

雨と珈琲とめがねが似合う彼が
今の私の一番の関心ごと

また
謎が増えた

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