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0時の君のソレ

0時の君のソレ

日記のような“ソレ”は
毎日0時に投稿される

今日のひとつの出来事
その出来事について思った事を書いてある

文章は丁寧で柔らかい

普段は優しく
ふんわり包まれるような内容

たまに
辛辣なことばが並ぶ時もある

どんな人が投稿しているんだろう
と想像してみたくなる

ある日のソレ 
 今日はなぜか、少し早く起きた
 明るく暖かい日差しが
 僕を起こした
 こんな日は1日気持ちがいい

ある日のソレ
 めずらしく海外ドラマを見ていた
 話は今ひとつ理解に苦しむ
 なのだが
 場面にぴったりあった曲がかかる
 この曲のサビ聴いたことがある
 何の曲だろう
 気になる

ある日のソレ
 課長が出張不在だ 
 職場の雰囲気がガラリと変わる
 僕は変わらない

ある日のソレ
 職場にやたらにありがとう
 を言う人がいる
 ありがとうの安売りみたいで
 心はあるのか?と疑う

ある日のソレ
 今日の珈琲は美味しい
 新しく入ってきた彼女が
 丁寧に淹れてくれたからなのだろう
 珈琲ひとつでその人がわかる

ある日のソレ
 会社の飲み会は必要かなのか
 と、時々思う
 愚痴や悪口が並ぶだけのような気がする

ある日のソレ
 香水をつける女の人がいる
 香りは好き嫌いがあるから
 好みの香りの人は好感が持てる
 苦手な香りを着ける人は
 やっぱり苦手な人だった

ある日のソレ
 通勤の電車で
 いかにもヤンチャそうな高校生が
 おばあさんに席を譲っていた
 たぶん、おばあちゃん子なのだろう

ある日のソレ
 新しい珈琲豆を買ってきた
 休日の朝に豆をカリカリ挽いて
 ドリップして飲む
 部屋中に珈琲のイイ香りが漂って
 それだけで
 今日のはじまりが良いので
 終わりも良いだろう

ある日のソレ
 単独出張は楽しく行ける
 明日は上司と一緒なので
 気が重い
 何の話を聞かされるのだろう
 長い一日になりそうだ

ある日のソレ
 今日は仕事が早く終わった
 久しぶりにジムに行ったら
 担当だったトレーナーの子が
 辞めていた
 彼女が丁寧でよかったのにな

ある日のソレ
 母親から久しぶりに電話があった
 「元気なの?」
 LINEは頻繁に送ってくる
 いつも既読スルーしていると
 かかってくる
 「元気、日記みたいなLINEいつも見てる」
 「たまには、リアクションしてよね」
 
 母親には言ったことないけど
 いつも、そのLINEで彼女が元気そうなのを
 確認できて、LINEって便利と思ってる

ある日のソレ
 今日は朝から雨が降っていた
 マンションの窓から見える
 雨の景色を見ながら
 朝の珈琲一杯
 のんびりしてたら遅刻しそうになった

短い文章だけの投稿
0時の君のソレ
どこの誰かも分からない
年齢も
どんな職業かも
どこに住んでるかも

男性で
嘘のない言葉が並んでるのは分かる

ソレがいつまでも
わたしの見える場所に
あるといいなぁ
と思う

偶然見つけた
このプラットフォームで

0時の君のソレ

それはわたしにとって
安眠剤のようなもの
安定剤のようでもある

一日の終わりに
ソレを読んで

静かに
携帯を閉じる

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