第7話 展開は突然に
〜前回までのあらすじ〜
高校二年生のさと子さんはパンが大好き。パン作りが趣味なおばあちゃんと二人暮らしをしています。同い年で起業をしようとしてるでっちゃんに、「さと子のパン屋さんをやろうよ」と言われ、悩んでいましたが…?
悩んでいても仕方ない。
散歩は終わりにして家に帰ろう。
家に帰るとおばあちゃんはパンを包装していた。私がさっき食べたチョコとナッツがかかったクロワッサンたちだ。誰かにあげるのだろうか。
私は何も言わずにそんなおばあちゃんの前に座る。
「最近は何か悩んでるの?」
目線はパンの袋のままで、おばあちゃんが聞いて来た。
なんで、悩んでるのわかるんだろう。
「あ、、うん。…この間おばあちゃんと、パン屋さんやったら楽しそうだねって話をしてたじゃん?」
「うん。ツリーハウスで売ったり、キャンピングカーで売ってくのも楽しそうだねって話をしたね。」
「そうそう。それをこの間でっちゃんに会ったときに話したんだ。そしたら、本当にやろうよって言わらたの。」
「それで、どう思ったの?」
「すごい楽しそうだと思った。でも、おばあちゃんと話してたときはできたら楽しそうってレベルで、本当に出来るなんて思ってなかったから、すごくびっくりした。」
「うんうん」
「そしたら、なんだかすごく怖くなった。選択しようとしたら、どう生きるか選べるんだって思ったらさ、、」
「そっか。
それは、いきなり今の普通の高校生から、パン屋をやるってところに飛躍してて、その間の過程がないから、怖さを感じてるってのもあるんじゃない?いきなり異世界に行けるみたいに思ってない?」
「確かに、、そう思ってたかも。ある日パン屋さんに変身〜!的な感覚はどっかにあった、、」
「そんなわけないじゃん(笑)」
「確かに(笑)」
あれ?あんなに一生懸命考えていたのはなんだったんだろう。何かが一気に吹っ飛んでいってしまった。
「でっちゃんに、パンで幸せを届けたくない?って言われたんだ。…おばあちゃんは、どう思う?」
「うーん。たしかに美味しそうに食べてくれるのは嬉しいよ。もちろん。でもそれだけじゃなくて、私自身すごくパンが好きなんだと思う。生地の感じとか、だんだん膨らんで行く様子とか、綺麗な焼き色とか、、。だから、食べてもらう人に幸せになって欲しい!が、第1位じゃないよ。」
「そうなんだ。…それでも、いいのかな。」
「知らなーい。(笑) さと子は考えるの辞めたら?」
「それ色んな人に言われる(笑)」
「さと子は純粋に、可愛いパンに囲まれるのが好きなんでしょ?」
「うん。」
「そしたら、それを一番に持っててあげないと。忘れちゃダメだよ。」
「たしかに、、。」
「そしたら、いいこと教えてあげる。」
おばあちゃんが取り出したのはパン屋さんのチラシだ。お店の写真が載っていて、青い看板に「olive」と書いてある。
「ここ、おばあちゃんの友達がやってるパン屋さんなの。ちょうどアルバイトの子を探してるんだけど、さと子、やってみない?」
おばあちゃんからチラシを受け取って、裏返してみる。そこに載っている写真の中のパンたちは1つ1つ可愛くて、なんだかどれもコロンとしてる気がして、好みドンピシャのパンたちだった。
「え、、やる!!!!!!」
思わず立ち上がってしまった私に、おばあちゃんはニヤリと笑ってこう言った。
「そしたら、明日、一緒におじちゃんに会いに行こうか。」
「うん!!!」
つづく
ーーーーーーーーーーー
パンをこよなく愛する高校2年生のさと子さん。パンを作るのが趣味なおばあちゃんと二人暮らし。それが、ある日、パン屋さんをやることに…?!気まぐれ更新中🍞
望月遥菜が書く初の小説です。
ーーーーーーーーーーー
#さと子のパン屋さん #さと子 #パン屋 #パン #おばあちゃん #高校生 #高校二年生 #小説 #チョコ #ナッツ #クロワッサン #お店 #幸せ #アルバイト