プロローグ(2024年冬: 人生の転機)
最悪な目覚めだった
起きた瞬間から考えたこともない言葉が脳裏をよぎった
そんなことを一瞬でも考えた自分が恐ろしかった
そんな朝が何日も続いた
生霊にでも取り憑かれてしまったのかとさえ思った
ある日ふと、これは未来の私からの警告かもしれないと感じた
このまま、今の状況を我慢し続けたらその言葉が現実になるという未来の私からのSOS
もうとっくに限界だったのだ
思い返してみれば、一年前この職場に入った時から毎日必死に馬車馬のように働いてきた
自己分析では責任感が強く人から求められた以上に頑張ってしまうタイプ、需要と供給が完全にマッチしていた
ペアで一緒に働く予定だった人が入職2週間前に突然退職、向かう先も分からないまま大海原をいきなり独りで泳ぐことになった
それでも何とか、これはいい経験だと自分に言い聞かせながら、自分で自分にムチを打ち、毎日息を切らしながら必死に働いた
ピークの年末を超えればと、気力で持ち堪えていた糸が年明けにプツンと切れた
落ち着くどころか新たなミッションが課せられ、思考停止状態に陥った
うまく呼吸が出来ず、蚊の鳴くような声しか出ない、負のオーラ全開で日に日に自分が自分でなくなっていく感覚があった
それでも妙な責任感から毎日足を引きずるように職場に向かった
そしてそれがひと月ほど続いたある日、その最悪な朝を迎えた
私はここまで来てようやく自分にとっての幸せについて真剣に考え始めた
人生には限りがある、明日何が起こるか分からない
貴重な人生の時間を先のない苦しみのために費やしてはいけない
全て自分の選択で今があるなら、これから私は幸せな未来のための選択をしよう
そう決意した途端、気持ちがふわっと軽くなった
私の心がGOサインを出した
まさか1年で辞めることになるとは思ってもいなかったが、もう3年位働いた感覚で、後ろ髪引かれるものは何もなく、後悔は1ミリもなかった
最悪に思えた1年だったがいいこともあった
100本ノックのような上司の無茶振りを独り何とかこなす中で、自然と夢に飛び込む勇気、度胸が持てるようになった
人生に無駄なことはない
これも私の人生には必要な学びで、貴重な経験だったのだ
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