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不登校

なんか腰が重く
出かける支度が進まない

気がついたらもう昼の3時になってしまった


これから電車を使って遠くへ行くわけでもない


ただ単に
家から少し歩いたところにある
前に働いてたバイト先に
ちょっとだけ顔を出そうとしていた

少し荷が重いのは
一方的に音信不通にしてから
すでに9ヶ月も経ってしまったからだろう


中学生の時
私は塾に通っていた

学校でも補習組の常連だった自分は
その塾でコツコツと勉強することになった

そこで学んだ自立式の学習スタイルによって

中学を卒業することが出来、
高校でも成績を伸ばすことが出来た


大学に入り
私はアルバイトを探すことになった

当時の先生は
自分が補習のために勉強していた
あの頃しか知らない

そんな自分が
高校において
成績で上位に入るようになったこと
卒論で最高評価を貰えるまでになったこと
いろいろ伝えたかったから
あの塾とあの先生を探した

自分が当時通っていた塾は
家から離れたところにあるので

仕方なく同じ系列の
家から最寄りの教室で働くことにした

偶然にも
当時勉強を教えてくれた先生も
いまはその教室を担当していて
近況報告をするととても喜んでくれた


アルバイトを始めて数年が経ち
就職活動の時期になった

連日のように参加する企業セミナー
予定の読めないスケジュール

そんな就活漬けの毎日に
バイトのシフトが入れるわけなかった


「すみません、
今週も忙しくてシフト入れなそうです、」

そんなメールを何回も送っているうちに
気づいたらそのメールさえ
送らなくなってしまった


9ヶ月が経つあいだ
いろいろなことがあった

当時の先生は
自分が生徒と勉強をしていた
あの頃しか知らない

そんな自分が
就活において
どれだけ頑張っていたかということ
そしてどのような道を選んだかということ
いろいろ伝えたかったから
また先生を探すことにした

あの先生は
そういう報告を聞くのが好きなのだ


9ヶ月ぶりに歩くこの道も
今日が最後かもしれない

夕方になると
多くの生徒がよく使うこの通学路も

まだ下校の時間ではないらしく
静まり返っている

バイトの給与振込のために
初めて口座を開設しに行った地方銀行も

当時の面影もなく
新装リニューアルしていた


塾に着いた

外からでも教室長と事務の人がいるのは
確認できた


決心し、扉を開く


「…お久しぶりです。講師の(苗字)です」
申し訳なさそうに自分が言うと

「…あっ!(苗字)先生!?」
二人とも椅子から腰を上げた

「お詫びと近況報告、
そして感謝を伝えに参りました」
と伝えた

そして
なぜ連絡が途絶えてしまったのか
詳しく話した



「いつでもシフト入れるように待ってたんですよ」
と教室長が言う


ふと下駄箱に目を向ければ
出席表に自分の名前が書いてある

9ヶ月前と何も変わらずに
そこに名前があった


結局のところ
最後の最後まで
教室長と自分の立場は
「先生」と「生徒」って感じだったけど

いつの日か
また教室長に褒めてもらえるように
これからも頑張りたいと思う

#日記 #別れ #学び #教育 #バイト #塾バイト