短歌を始めたきっかけ
私が短歌を始めたのは、2019年の1月です。
スマートフォンのメールの下書きに、思いついたものをメモし始めました。
当時(今もですが)私には短歌の知識は乏しく、短歌といえば「5・7・5・7・7の和歌」というだけ。
そんな私がどんなきっかけで短歌を始めたのか、という話を書こうと思います。
話は2018年10月16日まで遡ります。
夜、付けっぱなしになっていたテレビからは、ある特集番組が流れていました。
「クローズアップ現代+」です。
萩原慎一郎さんの「滑走路」という歌集についての特集でした。
「短歌か~学校で習ったな~」となんとなく見ていると、萩原さんの生涯についての話がありました。
非正規で働いていたこと、学生時代にいじめを受けていたこと、そして自ら命を絶ったこと・・・。
同じく非正規で、いじめを経験し、自殺も考えたことがある私は、他人事のように思えず、そこから見入ってしまいました。
短歌が何首か紹介され、教科書で見た以来の短歌に触れました。
短歌は「教科書に載っている昔のもの」ではなく、今話している言葉で思いを表現できるものなんだとわかりました。
図書館で「滑走路」を予約しましたが、テレビの影響で順番待ち。
やっと手にできたのがいつだったか覚えていないのですが、それを読んで胸を打たれました。
同時に「これだ、自分も短歌が詠みたい」と思いました。
これが私が短歌を始めたきっかけです。
余談ですが、私は非正規ということもありお金に余裕がないので、本は図書館で借りるか古本屋で購入していますが、この本は図書館で借りたのち、手元に置いておきたくなって新品で買ってしまいました。
そんな萩原慎一郎さんの「滑走路」の中から、5首紹介します。
抑圧されたままでいるなよ ぼくたちは三十一文字で鳥になるのだ
生きるのに僕には僕のペースあり飴玉舌に転がしながら
消しゴムが丸くなるごと苦労してきっと優しくなってゆくのだ
非正規の友よ、負けるな ぼくはただ書類の整理ばかりしている
今日という日を懸命に生きてゆく蟻であっても僕であっても
いつかお話をしてみたかった。
あなたがきっかけで短歌を始めました、ありがとうございますと。
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