#76 "Debio"ノルウェー有機認証ラベル
#有機農業 #ノルウェー 🇳🇴
さて、今回はせっかく現地に来ているので、ノルウェーの有機農産物の認証ラベルDebioについて紹介する。*Debioは1986年に設立された、IFOAMに加盟する有機認証機関である。
街中で見つけたDebioラベル
スーパーやカフェなどラベルがありそうなところでは目を凝らして歩いてみたら、至る所で発見できた。日本で有機JASを見つけるより簡単だった。
はちみつ
卵
grønne franske linser
キヌア粉
ポットのハーブ類にもDebioラベルが付いている!
ハーブ類
野菜は輸入品が多い。
Økologiskコーナー
りんごジュース
カフェで売られているコーヒー豆
オーガニックのパン屋さん
EU諸国では、EU organic labelと各国の有機認証ラベルが併記されているのが普通だが、Debio単体で表記されている。(※下の写真、デンマークの有機認証ラベルの隣にはEUのラベルが並んでいる)そう、ノルウェーはEUに非加盟国だ。ではノルウェーの有機農産物の認証基準はどうなっているのだろう?調べてみたところ、EUの規則に基づくそうだ。
・・・・・・
公式サイトを見てみると色々な情報にアクセスできるのだが、ノルウェー語の為正確な内容を把握するのは難しく(英語に訳してもざっくりとしかわからない)、日本語の情報もほとんど無い。しかし現地に来てみると思いのほかラベルは普及しているように感じた。しかし、日本と同じく手続きが農家の負担になる等の理由から有機農業をやめる人もいるそうだ。
ノルウェーの農業事情
ノルウェーはスカンジナビア半島の西岸に位置し、国土面積は日本とほぼ同じ。ノルウェー海流(暖流)の影響により高緯度にの割に温暖である。国土をスカンジナビア山脈が縦断するため、平地はほぼ無いに等しく、農業は酪農が主体、麦類の生産は南東部に集中している。
また、沖合は世界三大漁場の一つである北東大西洋海域で豊富な水産資源に恵まれており、世界有数の漁業国である。特にサケ類の養殖に注力している。
IFOAM EUによると、ノルウェーの有機農業の面積は55260 ha(2012)である。ノルウェーの農地面積は国土の2.2%で、ざっくり計算すると有機農業面積は全農地の約6.5%にあたる。
有機農業面積の内訳
・農作物*(arable crops):80%
*主にGreen fodder(=家畜飼料として栽培されているもの。また自然の草地、牧草地も含まれる。)
・草地と牧草地 (permanent grassland and grazing areas):18%
・永年作物(permanent crops):0.5%
内訳を見るとほぼ全てが草地と牧草地である。数字だけ見るとノルウェーの有機農業は下火のように見えるが、そもそも農業(作物栽培)には不向きな土地なので納得できる数字ではないか。
ちなみに隣国のスウェーデンの農地は国土面積の7.5%ほどで、このうち有機農業の占める割合は約14% (2012)である。これはヨーロッパの中でも比較的高い。ヨーロッパの有機農地割合を視覚的に捉えられる画像を見るとよくわかる。↓
ヨーロッパの有機農地の割合
・・・・・・
有機農業の普及には、認証取得手続きの簡略化等の共通の課題と、国ごとの農業の特徴による異なる課題とがあり、両方向からの解決策の検討が必要だろう。
・・・・・・
Landbrukets Økoløft
ノルウェー国内の有機農産物生産を増やすことを目的とする"Landbrukets Økoløft"というプロジェクトがあるみたいだ。
このプロジェクトを主導するØkologisk Norge(ノルウェーオーガニック)は、有機食品、有機農業、環境と健康に関心を持つ農家、企業、一般消費者を結びつける組織である。
北欧諸国の有機認証ラベル
ノルウェー以外の北欧諸国にも、それぞれ有機認証ラベルがあるので参考までに紹介する。サイトはほとんど現地語だが、Googleの翻訳機能で英語に訳すと比較的読める。
・スウェーデン🇸🇪:Krav(1985-)
・デンマーク🇩🇰: Danish Ø-mark(1989-)
赤い王冠のマーク(デンマークの有機認証ラベル)
・フィンランド🇫🇮: Luomuliitto - The Ladybird label(1989-)
左の丸いマークがフィンランド政府の有機農業認証
★関連用語
※表記はノルウェー語(Bokmål)、フランス語、日本語の順番
Norsk(no)=Norvégien(fr)=ノルウェー語
Økologisk(no)=Organique(fr)=オーガニック
ノルウェーの公用語は、ノルウェー語とサーミ語であるが、ノルウェー語はさらにブークモールとニーノシュク二種類に分かれる(厳密にはもっと複雑)。この記事では、人口のおよそ85~90%によって使用されており、外国人のノルウェー語学習者に一般的に教えられているブークモール(Bokmål)を使用した。
参考文献
DEFINITION AND CLASSIFICATION OF COMMODITIES
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?