ミニシアターの草分け
ずっと読んでみたかった本をやっと図書館から借りてくることができました。2022年に刊行されたばかりですが、人気があってなかなか順番が回ってこず、この度やっと読む事ができました。
1970年代から日本のミニシアターブームを牽引して来られた、ユーロスペースのオーナー堀越謙三さんの一代記です。私も観る側の端くれとして気になる部分も多く夢中で読ませていただきました。
ヨーロッパのインディペンデント映画を日本に配給した先駆けとしては、その前に秦早穂子さんがいらっしゃいます。
こちらの本は、その10年前の2012年に刊行されていて、小説仕立てですが、
ドキュメンタリーの部分もあり、ジャンーリュック・ゴダールのデビュー作
「勝手にしやがれ」を世界に先駆けて買い付け、1960年3月に日本で評判となる題名を付けて封切った話とか、アラン・ドロンとニーノ・ロータを使ったルネ・クレマンの作品に「太陽がいっぱい」という日本語題名を付けて大ヒットさせた事とか興味深い話が続々登場して、夢を見ているみたいです。
そして、次世代のプロデューサー堀越謙三さんとレオス・カラックス監督との関係の深さにも驚きました。去年の3月にユーロスペースで開催された”WE MEET LEOS CARAX!”5作品一挙上映もそのような下地があったからこそ出来た事だったのですね。
ひと癖もふた癖もある難しい監督達と上手に付き合い、作品を世に出していく手腕は見事という他はなく、資金繰りについても並外れた度胸をお持ちだし、こういう方がいたからこそのミニシアターブームだったのが、よくわかりました。対話形式で書かれた本ですが、その記憶力の確かさにも舌を巻きます。ミニシアターは今はコロナ渦もあって停滞気味ですが、また復活して欲しいものです。