『サムライ ハイスクール』 第三回 ふたりの小太郎対決! 🌙ギャル語解析&ギャグ解説付き
―深掘り考察記事です
―おもいきりネタバレしますのでご注意ください
―基本的に敬称略/‟春馬くん“だけ例外
サムライ殿となんとかうまくやっていけそうな気がしてきた小太郎。
素の自分とのギャップがありすぎるけど、自分が強くなれば問題はないとうそぶく。
だが、「あんた歴史の重さ、ヘビーでホラーのとこまだわかってねっし。こっからよ、こっから」とひみこが脅す。
なにやら大きなことが起こりそうな気配がヒタヒタと…
なぜ侍が現われたのか、とうとうわかるときが来たのだろうか。
小太郎の運命やいかに!
3人の小太郎ー名称使い分け
🌕侍小太郎=ご先祖様の望月小太郎。真田幸村の家臣。1614年大坂夏の陣にて討死。享年17歳。
🌙ヘタレ小太郎=現代の高校生である望月小太郎。3年生なのに志望先も決まってないお調子者。単に「小太郎」と書く場合も多し。
🌗サムライ小太郎=侍小太郎がヘタレ小太郎に乗りうつったときの小太郎。あぇ? ややこしいなあ。
服装はヘタレのときのまま。髪は黒ゴムで雑に結わかれ、侍言葉を話す。めっぽう強い。
🌕 🌙 🌗
【其の七】悪代官と一騎打ち
「校長、寄附金横領」の新聞雑誌報道に学校も保護者も大騒ぎ。ホームレス狩りで退学させられた岩永仁の様子に関与を疑い、問い詰めようとする小太郎だが、逆に捕まって監禁されてしまった。岩永の父親は現役の国会議員らしいし、学校は、校長は、小太郎は、いったいどうなっちゃうの~?
変身!《る》
岩永専用のトレーニングルームで黒づくめの男たちに殴られる小太郎。
「ぶっ殺す」
岩永の言葉に侍殿が乗りうつる。
「すべてを白状し校長殿に許しを乞え」とせっかく岩永を追い詰めたサムライ小太郎なのに、壁に貼ってある水着女子のポスターが目に入ってしまったよ~!
見ないようにと懸命に抵抗する小太郎だが、とうとうヘタレに戻ってしまった。あー、ばれたらまずいじゃん!
変身!《を》
縛られている小太郎の所に、中村と永沢まで連れてこられちゃった。
どうしてよ?
改心したと見せかけて、小太郎にサッカーボールを蹴りつづける岩永。尋常じゃないよ。
バイト先で侍が乗りうつったときのことを思い出し、永沢が「バカ、死んじゃえ!」と大声で叫ぶとサムライ殿、やっと参上。
あれ? また自分で髪の毛結わいた?
岩永と男たち全員を成敗し、そのまま学校へ行った小太郎が、職を辞すると言う校長に堂々と意見する。
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〈ギャル語解析&ギャグ解説〉
「ヤメテケーレゲバゲバ」
=左卜全とひまわりキティーズが歌う『老人と子供のポルカ』(1970年発表)の歌詞の一節。ゲバ=ゲバルト(独語)=威力、暴力、抗争=当時の学生運動(ゲバゲバ)
「ショボッ! それでも武士?」
=しょぼい=冴えない
----------------------------------*ギャル語監修の浜田ブリトニー氏。今回、特別出演してます。
えー、どこどこ? ほら、そこそこ! セリフもあるよ!
〈ヘタレ小太郎のホンネ〉
本人から聞いたこと以外は信じちゃだめだ――濡れ衣を着せられて会社をクビになってわかったことだと言う父親。
寄附金横領の話も直接聞いたことではないだろ? と言われた小太郎は、校長に面と向かって尋ねる。
「校長先生はホントに学校のおカネを盗んでないんですか?」
父親の言葉を実践した小太郎。天晴れじゃ!
〈サムライ小太郎語録〉
「身に覚えのない噂ごときに負けてよろしいのか。生きるために逃げること生きるために戦うこと、ともに意味のあることでござろう。ここはどうかこの城にとどまってくだされ」
この言葉で勇気が湧いた校長。翌朝にはチョー元気に復活だ~!
でも、いいのかなぁ、あれで?
やっぱり悪代官だってヘタレ小太郎自身が言ってるぞ。
【其の八】初対面! 俺と侍
家の前に置かれていたのはホントの刀!
交番に届ける前に東雲歴史文庫に寄ってひみこに見せると、小太郎の先祖殿が仕えていた真田幸村の刀「村正(むらまさ)」なんだって!
「もし持ち主が正義を行なわなかったら、必ずその手を離れ、正しい持ち主を求めて旅をするんだ」と説明される。
ならば、この刀がヘタレ小太郎のもとに来た意味は?
風雲急を告げる。
変身!《わ》
国会議員である岩永の父親が学校に来て、家宝の刀を小太郎が盗んだと校長らに言う。え~? どういう理屈よー。
今ここに持ってくれば許すなんて言われて家に戻る小太郎だが、妹が交番に届けようと刀を持ち出してしまっていた。
ギリギリで捕まえ、急いで学校に戻ろうとしたとき警察に囲まれてしまう小太郎。刀を持って行かれそうになったとき侍殿が乗りうつり、中村の捨て身の助っ人もあって刀を奪い返し逃げ出した。
どこ行くの~?
変身!《か》
刀を手に夜の教室に入り込んだサムライ小太郎。
戦場で倒れた侍小太郎が目を閉じた場面が頭に浮かび、軽くうなずくと、突如、いつもの衝撃が!
サムライ小太郎はその場に倒れ、ヘタレに戻った小太郎が起き上がる。そして、衝撃が炸裂した場所に立っているのは、時空を超えてやってきたホントの侍の望月小太郎だった。
「最後におぬしと会うためにここまで逃げてまいった。ようやく話す時がまいったな。この日を待っておったぞ」
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〈ギャル語解析&ギャグ解説〉
「ゼッテーイミアッシ。この刀があんたの所に来たのは…」
=ゼッテー・イミ・アッシ=絶対・意味・あるし=絶対意味あるし
「人生の核心には自分で至るしかないの。そうじゃなきゃ、あんたもシオシオノパーッ!」
= 1966年に放送開始した『快獣ブースカ』で使用された「ブースカ語」のひとつ。塩をかけられた菜っ葉が元気なくクシュッとなってしまうさま。がっかりしたり、元気がなくなったりしたときに使う。悲しみや嘆きを表わす。
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〈中村のホンネ〉
「サムライではない素の小太郎は最悪」と永沢に言われてしまう小太郎。だが中村はそれを羨ましがる。
「言われてみたいなー、サーイアクっとか…」
ホントに好きなんだね、あいちゃんのこと。そしてその言い方には愛がこもってるってのがわかってるってこったね。
小太郎が感じたように、確かに思いのほか鋭い中村なのであった。
〈永沢あいのホンネ〉
「あたしだって信じてます。あたし、バカな小太郎もサムライの小太郎もどっちも、どっちも大好きだから!」
小太郎の前で言ってあげてよ~、お願い、あいちゃん!
〈サムライ小太郎語録〉
「今は捕まるわけにはまいらぬ。わしにはせねばならぬことがある」
これまでとちがい、ヘタレ小太郎の窮地を救うために戦うわけではないらしきサムライ殿。
とうとうサムライ小太郎の謎が明かされるのか。
【其の九 最終話】激白 さらば侍
時世の句のように誇り高く死ぬことはできなかった。誇りを取り戻すために同じ名で同じ年になったおぬしの体を借りにきた。そう語るボロボロの着物を着た望月小太郎とヘタレ小太郎が互いの心の内を吐き出す。
刀を持ち主のもとに返したいというヘタレ小太郎と、過ちを擦り付けるために嵌めた岩永父子を成敗いたすという侍小太郎。
侍殿の言ってることは正しい、それを無視することはできないと思う小太郎が選んだ道は…
大団円を迎えて目まぐるしく変身する小太郎。この小太郎はいったいどっちの小太郎? あぇ? ヘタレに戻ったはずなのに髪型はそのままなのかい?
…で、説明するのもややこしいので今回は割愛じゃ。ご免!
そして、侍と刀についていつも以上に鋭く突っ込んだことを言う東雲歴史文庫のひみこ。彼女はいったい何者? さらに東雲歴史文庫の謎とは?
【緊急告知】
ひみこと東雲歴史文庫については、次回第四回で深掘りいたすで候。
〈ヘタレ小太郎のケツイ〉
「生きることは常に真剣に立ち向かうことじゃ。おぬしは生きておらぬ」
「あんたの義の通し方ってなんなの? 武士はね、いざ戦場に立ったら自分のやり方で戦うんだよ」
侍小太郎とひみこにそう言われたヘタレ小太郎。とうとう自分自身で考え、自分自身で戦うことを決めたんだね。
「とりあえず謝っちゃったほうが早いってのはわかってる。前の俺だったらそうしてた。けど今回はそれじゃダメなんだよ、最後まで戦いたいんだ」
〈侍小太郎語録〉
「戦の前に契りを交わしたのだ。おぬしもそのくらいの甲斐性は持て。おなごはよきものぞ」
と片目をつぶってみせる侍殿。戦に明け暮れた侍にも、ホッとできるひと時はあったのであろう。
🌕 🌙 🌗
誰とも競わず争わず喧嘩せず、平和がいちばんで生きてきたヘタレ小太郎に侍殿が乗りうつるようになって3ヶ月。
とうとうやって来たヘタレ小太郎と侍小太郎の直接対決の末、波乱万丈の日々は落ち着きを取り戻した。
侍殿は幻じゃない。いつもそばにいるんだ。
いや。侍殿は小太郎自身の中に、きっといつまでもいつづける心強い存在なのであろう。
〈つづく〉