私が汚部屋を公開する理由~「あなたは十分素晴らしい」伝えたい、業者に三度目の片付け依頼をした人へ
ほんと、"部屋が散らかっている"って、なんでこんなに後ろめたいんでしょうね。
世の中には色んな人がいて、色んな生き方があって。
つまり、色んな考え方があって良いはずなのに、ね。
片付けができない人間は、ダメ人間なのでしょうか
私の知る限り、片づけられなくても笑って許される・その人の個性という表現で済まされる・受け入れられる人は、ごくごく少数の天才型芸術家です。
そこまで突き抜けた才能を持っているという評価をされていない私達一般人には、やっぱり、片付けられない事は、短所でしかなかったりします。
片付けができる人こそが、本当に立派な人間なのだ、と、
片付けができない人間は、それ以外の面で優秀でも結局ダメ人間であるかのように、
幼い頃から、あちこちで価値観を刷り込まれて来たせいなのでしょうか。
理由は様々あるでしょうけれど、私は、
片づけられない→掃除がやりにくい→衛生面で良くない
と繋がる場合が多いから、片づけた方が良いのだろうと、思います。
実際には、「そんな事、分かってる!(怒&泣)」のに、できないんですけれどね。
何もかも分かっているのに、片付けられない理由
散らかるには、散らかる理由が絶対にあると思いませんか!
こう言うと、片付けのできる人達は、
物品に適切な定位置を決め、使ったら必ずそこに戻す事を徹底していないから
持ち物が多すぎなのに、断捨離を定期的にして物を減らしていないから
片付けは整理整頓と適材適所、片付けと掃除をごっちゃにしている事が最初の間違い
とか、色々アドバイスを下さいますが、
私達の場合、たぶん、原因はそこじゃないですよね。
片付けのポイントどころじゃない、もっと手前の、もっと根本的なもの……。
余裕がない。
時間的にも。
身体的にも。
精神的にも。
それでも力を振り絞って、片づけようと、落ちている物を拾い上げた時。
ひとつひとつ、手に取る度に、思い出すのではないですか。
――このチラシは、いつか素敵に"おひとりさま"してみたいと思った、カフェコーナーのあるケーキ屋さん。
――この付箋は、雑貨屋さんで見つけて買わずに帰って来られなかったほど可愛かったけれど、後で私には可愛いすぎるような気がしてきて、結局、職場には持って行けなかった。
――このお茶のペットボトルのゴミは、多忙と疲労で水筒を消毒する洗剤を切らしてしまい、一度頼ってからは利便性に負けて買い続けてしまった物達。スーパーの回収コーナーでSDG’sしようと思って貯めていて……。
――この服は……。
――この○○は……。
意外にも覚えているんですよね。
そんな自分にびっくりしたりしませんか。
片づける事は、自分の過去を片づけるという事
散らかった物達を片付けるという事は、それを手にしていた時の自分、つまり過去の自分と向き合いながら、その自分の過去を片づけるという事だと、私は思います。
大切にしたい何かを見つけた、過去の自分を肯定して、
自分が今、持てる分の大切なものだけを持って、
より良い未来の方を向くために、
終わらせるべきものを終わらせる、
手放す、
清算するという事なのです。
だから、こそ。
部屋を片づけられない事を後ろめたく思う必要は、全くないと思います。
まして、自分に自信を無くす必要など、全く。
片づけられないのは、現実問題として、時間や体力やお金に余裕がない……というだけでは、ないはずです。
片付けに割くだけのパワーがない。
過去の自分に向き合うための、心の体力が残っていない。
とてつもないパワーが要る
少なくとも私は、捨てる決心ができるパワーすらないのは、心の中に、簡単に捨ててしまえない悩みや、思いを抱えていたりする時です。
そんな、答えや解決があるとも分からないのに捨てる事のできない問題を抱えて。
自分のパワーを奪って行ってしまうそれを、なんとかして昇華させなければと、悩み、考えながら、
懸命に日々の生活を送って生きている事の、何を後ろめたく思う必要があるでしょう。
かくいう私も、親戚に借金を返しながら生きています。
夫の、大学の奨学金の残り八年分を返しきるのを待っていたら高齢出産になると親類に説得され、身ごもってみれば切迫早産で突如、長期入院。何とか出産期間近まで耐えた頃には、貯金では支払えず退院できないような金額になっていました。
出産後、出血は三か月以上止まらず、加えて完全母乳による激やせと助産師に心配されるほど泣き続ける神経質な乳児の夜泣き対応で体調は激悪、やむなく育休明けの時期は何か月も後ろにずれ込み、認可外保育園を掛け持ちしなければならなくなった保育園代で、働くほど逆に赤字。
仕事で正念場を迎えた夫は、ある病で入院し、数か月後、退院後はほぼないと言われたはずの再発で再入院した事をきっかけに鬱病を発症し、休職。傷病手当はあったものの家の収入は激減。支給期間が過ぎても夫の復職はままならず。
私が稼ごうにも、子供の精神不安定はいよいよひどくなり不登校。発達障害を背景とする重い緘黙(喋れない)と緘動(身体が固まって動けない)により預け先がなく、小学校低学年の児童を一人には出来ず、夫の鬱状態は子供の精神的なケアを行いながら面倒を見られる状況ではない。覚悟を決めて生活保護の相談に行きましたが、幼子が不登校のため就労できないと言う支給例はないとの事。
やってきた超大型台風の浸水被害は、居住地区が全国区のテレビに何度も放映されるほど。公共交通機関の不便な田舎のため、自家用車は私と夫の通勤・通院に一台ずつ計二台、必須。それが一度に買い替え。
そんな中で気付くのが遅れたクレジットカードの不正利用被害。
肉親のガンと手術。
コロナ禍。
車で一時間半離れた義実家で、義父の自宅ケアと看取り……。
ここ十年、ひとさまに見せられるほど私の家が片付いていた事は、ほぼありません。
また、子供を育てる事は、忘れてしまいたかった私自身の育てられ方を、否が応でも見つめ直し、自分の傷と向き合う事でもありました。
そう、まさに今も、私は、自分のその心の痛みを癒しながら、子供にはそれを気取られぬように、精一杯の笑顔で、精一杯の愛情を注ぎながら生活しています。
だから、私は汚部屋を公開し続ける
だから、私はこれからも、自分の家が汚部屋になる度に、公開し続けます。
そしてその度ごとに、片づけて、そうしながら見つけた、出来る限り少ないパワー消費でできる片付けのコツや、ポイントを、シェアしますね。
小さな箇所の片付けでも、そのひとつひとつが、私の心の中の問題解決に連動して、ひとかけらずつ、一緒に片づけられて行っているような気がしています。
散らかっている事に、堂々としていましょう。
自信を持って、片付ければ良いんです。
明日を生きるための体力と精神力を、ちゃんと残して、ね。
少しずつ、ね。
業者に三度目の片付け依頼をしたあなたへ
例えようもなく頑張っているあなたに、私は、心から伝えたいです。
私の場合は、幸運にも、具体的に助けてくれる人が周囲にいました。その人達がいなかったら、私の人生は今頃どうなっていたか分かりません。
頼れる人もいない中で、必死に生きて来られたあなたは、本当に本当にすごいと思います。
そんなあなたが、勇気を振り絞って、「助けて下さい」と言えた事。
外聞が重要視されてしまうこの世の中で、あなたが見栄を捨ててSOSの声を上げたのは、素晴らしい事だったと私は思います。
それは、あなたが、「私は限界まで頑張った」とご自分を認めた、肯定したという事でもあったはずです。
そう、あなたは、本当に、頑張って来られたのです。
一緒に、これからも、なんとか、生きていきましょう。
お互い、汚部屋も未払いも片付けた後のすがすがしさを、楽しみに想像して、ね。
生きている者同士、遠く離れていても、直接会う事のない関係でも、『一緒』です。
大丈夫、あなたはちゃんと、素晴らしい人です。
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