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おすすめ図書2冊

今日一目惚れして買った本は、半年前に一目惚れした本と同じ作者さんでした。

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私は本が好きだ。
本を読むのも好きだけど、装丁をじっと眺めるのも好きだ。
テストが終わると、とりあえずふらっと本屋さんに行く。1時間も2時間も練り歩いて、装丁、タイトルのフォント、カバーの質感、帯の細部に至るまでじっくり眺める。
最近は箔押しがされたものや、ソフトカバーがキャンバスのようにざらざらとしているもの、遊び紙の挟まっているものなど、文章以外でも物語の世界観が作りこまれている本が多い。
帯にしても、「●●万部突破!」などの赤文字ではない、メッセージのこもった帯ならずっと保管していたいと思う。

とはいえ、金銭的にも、空間的にも、週に何冊も単行本を買えるほどのゆとりはないので、私は「テストが終わった日は好きなだけ買う」と自分ルールを決めている。ずっとほしかった本を狙って買いに行く時もあれば、一目惚れで買い込む日もある。今日紹介する二冊は、時期は違えど、どちらも``一目惚れ‘‘で買ったものだ。全身全霊で言う。出会えてよかった。

とろりとした明朝体と謎のタイトルが印象的な「月まで三キロ」は、大地や気象に関するほっこりしたお話の短編集になっている。今まで考えもしなかったような視点とそのスケールの大きさに思わず口が開いてしまうのだが、そのうち自分が元気づけられていることに気づく。自然からのメッセージはいつも雄大で、さりげない。

雪の結晶が箔押しされた白銀の装丁に、対照的な「八月」の文字が謎を呼ぶ「八月の銀の雪」は、5つの出会いの物語である。海の底の更に奥、地球の芯にゆっくりと雪が降り積もる様子を想像する。東から西へ、かつて「神風」とよばれたジェット気流が72m/sの速さで吹き抜けていくのを想像する。核燃料が、10万年の時をかけてウラン鉱石と同じだけの放射線量に戻っていくさまを想像する。好奇心は、いつも想像力の先にある。

これらの本はどちらも「伊予原 新」さんの著書である。どちらも新潮社から出版されているので、地学が好きな人も、そうでない人も、ぜひ手に取ってみてほしい。少しの知識と、前向きな気持ちを持って本を閉じることになるだろうから。


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