【第1回】現役女子大生が読む!関西Z世代女子マーケティングレポート ~Z世代女子のSNSの利用とデジタルデトックス編~
株式会社ハルの女性マーケティングチーム「はるかぜ」のサービスメニュー「はるかぜ × 武庫川女子大学Z世代女子へのモニター調査」にもご協力いただいている、武庫川女子大学 高橋千枝子先生のマーケティングデザインゼミ。ゼミメンバーである現役女子大生が執筆した「関西Z世代女子マーケティングレポート」を、はるかぜnoteでも発信していきます!
1. はじめに私たちの紹介
はじめまして、こんにちは! 武庫川女子大学経営学部の高橋ゼミです。私たちは高橋千枝子先生のご指導の下、3年生20人で活動しています。
今回から定期発信を行なっていくZ世代女子リサーチでは、Z世代にあたる関西の女子大生がSNSやお金に対する意識、美容・コスメやカフェといった様々なトピックで気になっていることを調査し、分析をして発信していきます!
第2回の記事ではまず、Z世代女子のSNSの利用とデジタルデトックスについての調査をし、発信します。
突然ですが皆さんは「Chill」という言葉をご存じでしょうか。「Chill」とは、くつろぐ・落ち着く・まったりするといった意味であり、この「Chill」は英語のChill outが語源になっていて“チルしてる”、“チルってる”という感じで使われています。コロナウイルスの影響もありおうち時間でSNSをより長い時間利用することが増え、SNS疲れという言葉があるように、癒やしを求める「Chill」がZ世代に注目されるようになりました。
そこで、今回調査をするにあたってSNSとチルを含むデジタルデトックスの関係がZ世代に強く関わっていると考え、Z世代女子157人を対象にSNSの利用とデジタルデトックスに関する調査を行いました。
【調査方法】
〇WEB調査(定量調査)
調査期間:2022年6月1日~2022年6月7日
居住地:関西圏内
性別:女性
年齢:18~22歳
対象:高校生・大学生・短大・専門学生
回答者数:157名
〇その他過去の定性・定量調査をもとに考察をする。
2. Z世代女子のSNS利用って?
◆SNSの利用実態
SNSの利用について調査を行ったところ、1日どれくらいスマホを利用しますかという問いに対し、1日3時間以上スマホを利用するZ世代女子は約7割いることがわかりました。Z世代女子にとってスマホは日常に欠かせないものであり長時間スマホを利用している人が大多数を占めます。
◆それぞれの利用目的
次にZ世代女子がSNSを長時間利用するには目的があると考え、それぞれのSNSの利用目的について調査しました。(※単位は人数)
〇Twitter 〇Instagram
〇TikTok 〇YouTube
これらのグラフより、TwitterとInstagramは『興味があるものを調べるため』『話題を知るため』という能動的な行動による利用が目的でしたが、TikTokやYouTubeは『暇つぶし』が利用の目的であるという回答が多くなりました。
これらの結果から、Z世代は他の世代とは違い1日に長時間SNSを利用し、コンテンツによって利用目的が様々であるということが分かりました。
ちなみに下記の添付画像は、私たちZ世代リサーチメンバーの「ゼミがある火曜日のとある1日」の中でのSNSの利用実態についてまとめたものです。4人に共通するところは、
〇まず朝起きたらLINEとInstagramの返信・確認をすること
〇お風呂ではアプリで音楽を聴きYouTubeを見ること
〇授業のためのミーティングは顔を出さずにLINEでグループ通話をする
ということです。
3. SNS疲れって?
ところで皆さん、SNSを利用する反面、SNS疲れをした経験はありませんか?
SNS疲れとはその言葉の文字通り、「SNS利用によるコミュニケーションを長く、頻繁に利用し続けることによっておこる苦痛や疲労」のことを表しています。
実際に私たちが行った調査では、「SNS疲れをしたことがあるか」という問いに対して約7割の人が「疲れたことがある(かなり疲れている5.7%、疲れている20.4%、ときどき疲れている38.2%)」と回答し、大半のZ世代女子はSNS利用によって疲れが生じていることがわかりました。またこの結果から、長時間のスマートフォン利用とSNS疲れは関連があることがわかります。
SNS疲れの原因は上記のグラフの通りです。
SNS疲れの原因としては、「友達と比較してしまった」「画面上の人間関係に疲れる」「他人のネガティブな投稿に不快に感じる」「反応に対する期待とプレッシャー」が多く挙げられました。SNSが近年発達したことにより、Z世代の私たちは、調べ物をするにしても、友達と連絡するにしても、暇つぶしをするにしても、どんな時も携帯を利用しています。
その一方で、SNSを長く頻繁に利用してしまうことによって、画面上での文字に傷ついたり、相手の反応を伺ったり、他人と比較してしまうことによる劣等感を感じたりと多くの深読みをしてしまうことによってSNS疲れがおきてしまうのではないかと考えます。
4. リフレッシュ方法
そういったSNS疲れをしている人を対象に、SNS疲れによるリフレッシュ方法についてアンケートを行いました。
リフレッシュする方法としては、「音楽を聴く」「友達と遊ぶ」「美味しいものを食べる」「ショッピングをする」「自然と触れ合う」の5つが多く上がりました。その中でZ世代女子がリフレッシュ方法として最も効果的だと思っているのは、「音楽を聴くこと」です。音楽が感情に対して良い影響を与えることは科学的にも実証されています。「音楽を聴く」「自然と触れ合う」ことはチルにあたり、Z世代女子はSNSから離れた時間を好む傾向があることが分かりました。
そこでこれらの調査結果から、リフレッシュ方法の大半を網羅できる案を検討したところ、Z世代の間でチルが流行っていることも考慮し、SNS疲れには『朝活』が良いのではないかと考えました。
5. 朝活について
◆実際に朝活をやってみて
実際に先程取り上げた『朝活』はどんなものなのか体感するために2022年6月17日に御前浜公園の海辺で実施兼調査を行いました。
【実施兼調査について】
調査期間:2022年6月17日(5:00~8:00)
場所:〒662‐0933 兵庫県西宮市西波止町1
〇実施兼調査者
性別:女性
年齢:20~21歳
人数:3人
居住地:大阪府・兵庫県
朝活に使用したものは以下の通りです。
■食材
食パン(10枚切り)、チーズ、ベーコン、ウインナー、たまご、牛乳、アボカド、バター、ケチャップ、砂糖、シナモン、油、ドリンク、マシュマロ
■備品・その他
アウトドアチェア×3、アウトドアテーブル、キャンプランタン、紙皿、割り箸、ナイフ、ウェットティッシュ、紙箱、アルミホイル、ごみ袋、ランチョンマット(大きめの布)
◎朝活の始め方
①予め前日にメニューを決め必要な食材や備品を調達しておく。
②朝早く起きて自分が癒やされる場所へ友達と出発する。(私たちは近くの海辺まで車で移動しました。)
③アウトドア用品をその現地で広げ準備する。
④音楽を流しながら料理を始める。
⑤周りの環境を感じながら友達とゆっくりご飯を食べゆったりとした時間を感じる。
以下が私たちが実際に行った朝活の写真となっています。
◎朝活の感想
朝活を実際にしてみて感じたことは、"早起きをして静かで癒やされる場所に行くと、爽やかな気分になり、素敵な1日のスタートを切ることができる” ということです。確かに朝早くから行動することはしんどいことかもしれません。しかし、思い切って朝活をすることで、新鮮な空気を吸いながら自分の気持ちと向き合いリラックスできる時間が出来ます。友達と自然に身をまかせながらゆったりとした時間を過ごすことで心も穏やかになり、自然とスマートフォンを利用する時間が減りました。
友達との思い出も増えるので『朝活』は一石三鳥です。
今回私たちが身をもって朝活を体験した経験から「朝活」はSNS疲れのリフレッシュ方法に適していると考えます。朝活をどのようにして始めたら良いのかわからない、朝活をやってみたいという方は是非参考にしてみてください。
また比較的簡単に始めることができるように計画を立てて実行しましたが、中には備品や食材を集めるのが難しいと感じる人がいるかもしれません。そういった方は簡単なピクニックのようなことをしてもいいと思いますし、自分の好きな場所や自然で癒やされる場所(例えば森など)で好きなこと(例えば絵を描く、楽器を弾く・吹く、運動する等)をするのも1つだと思います。自分がリフレッシュできそうと感じる方法を試してみて、SNS疲れした時にすぐ活用できるリフレッシュ方法を発見していただければ幸いです。
6. 日本のZ世代女子にはウケるのか
今、Z世代の若者の中で大多数の人が利用しているのはInstagramです。
そこで、私たちは「Instagramがなぜ若者の間で人気なのか」という理由ついて先程記載したアンケート結果をもとに話し合いました。
私たちが考えた人気の理由は、
『自分の投稿にいいねをもらうことで自己肯定感を高めることができるから。』です。
しかし、そのことによりSNS疲れに発展してしまう危険性があることもお分かりいただけたと思います。また、アメリカで流行っている「Be Real 」というアプリがこの定義を覆す内容となっています。
「Be Real」 とは2019年12月にリリースされたアプリで、写真ベースのソーシャルネットワーキングサービスです。アプリは2022年5月時点で1000万ダウンロードを達成しており、(アメリカの調査会社「data.ai」)その総ダウンロード数の65%は2022年に入ってからのものだそう。
そして、データ分析企業のApptopiaのデータによると、「Be Real」の月間アクティブユーザー数は2022年1月から4月にかけて315%も増加しており、ユーザー数の増加が2022年に入ってからであることも明らかです。
2022年第1四半期におけるアメリカ・イギリス・フランスのモバイルアプリダウンロード数でInstagram、Snapchat、Pinterestに続く4位にランクインしているなど、まさに今急成長のSNSなのです。
「Be Real」のダウンロード数が最も多い国はアメリカで、次にアプリを開発した企業があるフランス、そしてイギリスと続いています。年齢層はほとんどの国でZ世代になっており、特に女性が多い傾向にあります。
「Be Real」の使い方としては、ユーザーが1日に1回、フィルターなしのセルフィーカメラで撮影した写真を投稿するSNSのアプリです。
利用方法としては、アプリをダウンロードすると1日1回アプリからランダムに指定された時間に通知が来て2分以内に内・外カメラで同時撮影をし投稿するというものでリアルタイムで友達の近況がわかります。このアプリの最大の魅力はInstagramのようにアプリの滞在時間が長くなるわけではなく、1日1回見るだけで良いアプリであること、そして加工する手段もなく、敢えて顔を盛ったりせずにありのままの姿をさらけ出すというところにフォロワーの友達との信頼感があるということです。
『盛る』という観点だけでいうとプリクラや加工アプリが写真撮影で使われている一方で、今大学生を中心に、敢えて盛れない証明写真プリクラ、韓国のプリクラ、セルフ写真館なども流行しています。(※盛るとは写真加工で実物よりもよく見せることを指します。)
『盛れない写真撮影』が流行る理由として、私たちはコロナ禍によるマスク生活が原因なのではないかと考えました。
私たち大学生は、マスク生活による現実の顔を見られることに対する抵抗感により、敢えて盛らずに素顔をさらすという価値観や考えがあるのだと推測します。
一方、高校生はいつも素顔をさらけ出し、普段は制服で生活をしているからこそ休日におしゃれやメイクをし、いつもの私よりも「可愛い」ところをアピールしたい!という価値観や考えがあると考えました。だからこそ、プリクラを撮るなど「盛りたい」と思うのではないでしょうか。
これらの観点から「Be Real」が流行するのではないかと考えました。
しかし、アメリカのZ世代で流行している「Be Real」が日本のZ世代女子の間で流行するとは現時点では考えにくいです。理由としては2つ挙げられます。
1つ目は、アメリカと日本は国民性が違うからです。アメリカ人は日本人と違いオープンな性格で日本人のようにありのままの自分を見せることを恥じる人が少ないように感じます。
2つ目は、今後日本で流行した際にターゲットとなる日本の女子高生は、盛るということに楽しさを覚えており、この環境ではなかなかウケないのでは?と思うからです。
例え日本とアメリカの国民性や価値観が違っても、女子高校生が盛ることに楽しさを覚えていたとしても、Instagramがあくまでも情報収集のツールとしての使い方でしか使われず、「盛られた発信源」という認識を持つ、よりリアルな姿を求めるユーザーにとっては「Be Real」が第二のInstagramになり得る可能性があります。
よって、もしこれから「Be Real」が流行るとするならば、”敢えて盛らない選択をする” 私たちZ世代がターゲットになるのではないかと考えます。
7. まとめ・私たちの考察
これまでの話を踏まえ、SNS利用にはたくさんの危険が潜んでいます。SNSがメンタルヘルスに及ぼす影響についてピッツバーグ大学医学部の研究チームの調査によると、SNSの利用頻度が高ければ高いほど、うつ病など精神的なトラブルを抱えやすいことが分かっています。
しかし、私たちの生活習慣の一部といっても過言ではないSNSの利用は、これからも増え続けると考えられます。これを読んでいるあなたも気付かないうちに『SNS疲れ』に陥るかも知れません。この記事がこれまでのSNSとの向き合い方について考え直すきっかけになればいいなと思います。
そして皆さんも私たちが体験し「chill」として有効と感じた『朝活』をSNS疲れ解消の選択肢のひとつとして加えてみてはいかがでしょうか。
今回の調査より、同じ世代でも、年齢に応じた環境によってSNSを利用する意味や目的、何を『楽しい』と感じるのかなど、方向性は異なるということが分かりました。
『Z世代を一括りにするのはよくない。』
Z世代は多様な文化や価値観を持ち、日々の変化や新しさなどを柔軟に受け入れながら楽しんでいます。SNSとの向き合い方などの特徴を含めた傾向をより深く理解することでZ世代独自の強みを活かすことができるのではないでしょうか。
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【担当教員連絡先】
Z世代女子によるZ世代女子のマーケティングレポートです。Z世代女子視点のリサーチや商品開発、モニター調査等にも協力しています。ぜひご相談ください。
(連絡先)武庫川女子大学経営学部教授 高橋千枝子
chietaka★mukogawa-u.ac.jp(★を@に変更してお送りください)
【武庫川女子大学】
兵庫県西宮市にある、2020年度時点で大学10学部17学科、短期大学部7学科、大学院8研究科14専攻、大学専攻科1専攻科を有し、大学・短大を合わせ約1万人の女子学生が学ぶ、日本最大の女子総合大学。多種多様な学びが特長で、高い専門性と幅広い教養を身に付けて、自らの意志と行動力で可能性を拡げ、生涯を切り拓いていく女性をめざす。
(武庫川女子大学HP:https://www.mukogawa-u.ac.jp/index.html )
(参考文献)
・日本経済新聞「「Z世代」を定義したのは誰か 世代とITの深い関係」『日経ビジネス』2022年1月6日(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC274GS0X21C21A2000000/ 最終閲覧日2022年5月18日)
・TRANS「Z世代とは?|特徴や価値観をマーケティングに役立てるための基本情報」2021年9月30日(https://www.trans.co.jp/column/knowledge/generation_z/ 最終閲覧日2022年5月18日)
・厚生労働省「人口減少の見通しとその影響」
(https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/15/dl/1-00.pdf 最終閲覧日2022年6月17日)
・東洋経済「プリクラを女子高生が撮る理由(プリントシール機の市場減少傾向のグラフより参照)」(https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/15/dl/1-00.pdf 最終閲覧日2022年6月17日)
・医療財団法人平成医会「SNSとメンタルヘルスとの関連」(https://heisei-ikai.or.jp/column/sns/ 最終閲覧日2022年6月17日)
・Jason R. Dorsey 『Z世代マーケティング』ハーパーコリンズジャパン、2021年
・日本大学大学院総合社会情報研究科紀要 No.7,441-450「音楽聴取後の感情変化についての研究-テンポメロディーと曲に対する好みが感情尺度と癒し感情に与える影響-」2006年(https://gssc.dld.nihon-u.ac.jp/wp-content/uploads/journal/pdf07/7-441-450-naitou.pdf 最終閲覧日2022年6月17日)
・Z世代の間で人気!フィルターが使えない写真共有アプリ「BeReal」を試してみた 2022年4月19日(https://www.businessinsider.jp/post-253095最終閲覧日2022年6月19日)
・”盛らない”でリアルをシェア!写真共有アプリ「BeReal」が海外の「Z世代」に人気急上昇中 2022年6月11日
(https://news.yahoo.co.jp/articles/eb5462793373ff67c4019f97407d495e59f41638 最終閲覧日2022年6月19日)
・海外のZ世代で超流行中のSNS「BeReal」が面白い!Z世代ライターが徹底調査(https://0115765.com/archives/7907最終閲覧日2022年6月19日)
・若者世代に人気急上昇中のソーシャルメディア「BeReal」とは?2022年4月13日
(https://gigazine.net/news/20220413-bereal-gen-z-favorite-app/最終閲覧日2022年6月19日)
・ SHIBUYA109lab. Z世代のSNSによる消費行動に関する意識調査 2022年1月18日(https://shibuya109lab.jp/article/220118.html最終閲覧日2022年6月17日)