椎葉村へ① マイナス5度になるらしいから
友人が宮崎県の椎葉村に移住したと知って、いつか会いにいきたいとタイミングを図っていた。
「椎葉」という村が九州の山深くにあると知ったのは、20年くらい前。
当時横浜の十日市場に住んでいたが、家の近くに「天然酵母シーバー」というパン屋さんがあった。パンももちろんお店の雰囲気も好きでよく買いに行っていた。
ある日、店主に「ところで、お店の名前のシーバーってどういう意味なんですか?」と訪ねたら、宮崎県の椎葉村の生まれだと教えてくれた。
とにかく交通が不便でなかなか帰れないんですと言っていたことを覚えている。
家に帰って地図を出し、椎葉村を探したけれど、「うわぁ、随分と山の中なんだな」ということがわかった。
ちょっと行ってみようかなという軽い気持ちで行かれる場所ではないことを確認して、地図をパタンと閉じたきりだったので、その後は忘れていた。
友人が移住した場所が椎葉村だと知って、
うわぁ あのシーバーの椎葉だ、と不思議な気持ちになった。
友人とも随分会えずにいたので、会いたくなった。どんなふうに暮らしているんだろう。元気かな。
会いにいきたいなぁ。
でも遠いんだなぁ椎葉は確か・・・。
でも、気になるなぁ。
行ってみたいなぁ。
日本の三代秘境と呼ばれる村をみてみたいな。
う〜〜〜〜〜ん。
はるちゃんと二人で行くとしたら、どの季節がいいのかな。
ルートはどんなふうになるのかな。
2023年になって、本腰を入れて考え始めた。
行くなら今年中がいいという気がした。
航路、空路、陸路、あれやこれや調べてみた。
どれもなかなかの難関で、自力で行くのは至難の業だとわかった。
友人に相談してみると、11月が季節的にはいいというので連休を充てて4日間の日程を予定した。
最寄りの空港まではお迎えにきてくれるという言葉に甘えて、空路を選んだ。
2時間かけて熊本空港まで迎えにきてもらうことになった。
(つまり、私たちを迎え入れてくれるために、友人は往復4時間運転してくれた)
11月の終わりは御神楽の季節なので、どこかでお神楽を観ることができるかもしれないと言われて楽しみにしていた。
状況を知る情報は、現地に住む友人にとっても、何事も行ってみないとわからないということが多くて、御神楽が室内で観れるのか外で観るのか分からないから、防寒対策をしていこうと話した。
マフラーと手袋と、後、ウィンドブレーカーがあればいいかな。
ところが出発の1週間前になって、天気予報がいうには、椎葉村マイナス5度まで冷え込む予報が出た。
ええええぇぇ〜〜〜
マイナス5度って。
どんなの?
はるちゃんには説明が難しく、鼻水がちょろって出たらカチンって凍るかもね=
そうだ毛糸の帽子が必要かもしれないから、作ろう〜
家の毛糸袋から半端に残っていた糸を出してきて 編み編み
はるちゃんが寝ている間に2つの帽子を編んでソファの上に置いておいた。
「ママすごい〜 夜中に編んだの?」
いつか かぁさんが夜なべぇ〜をして 帽子を編んでくれた〜♪
って思い出してもらおう。
これで安心。
旅支度。
家にある毛糸でお揃いの帽子。
それを喜んでくれること。
旅の始まりは、こんなふうでした。
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