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写真とエッセイ | 睡眠薬強盗

noteをはじめて、張り切ってシリアスな事ばかり書いてしまったので、今回は笑い話をしてみようと思う。

もう25年も前の事になるが、海外をバックパックで1人旅していた時のことだ。

私は飛行機でフィリピンのマニラ空港に降り立った。
旅の最中、台北から飛んだものだし、日中に到着する便だったので、宿はまだ決めていなかった。

税関を通過し、街中へ出るため、バス乗り場へ移動しようとしていた時だった。
若い女性が「ヘイ、ミスター!」と声をかけて来た。話を聞くと、彼女の家族は宿屋をやっているので泊まりに来ないかという、客引きの内容だった。


自分のカタコトの英語が通じるのが楽しくて、つい外国人とあらば喋り込んでしまう私は、部屋を見てから泊まるかどうかを決めるとの約束で、彼女についていく事にした。

彼女と一緒にジプニー(フィリピンの乗合いトラック)を乗り換えて、着いた行き先は、何の変哲もないマンションの一室だった。

彼女は部屋を案内し、料金の説明を終えると私に泊まるかどうか聞いた。

当時、マニラには日本人のバックパッカーが集まるような安宿は特になく、ガイドブックもロンプラ(ロンリー・プラネットという英語のガイドブック)しかなかったので、他の宿を探しても良い宿にありつけるかは不透明だったし、彼女の設定した宿泊料金も手頃だったため、私はそこへ泊まることに決めた。


彼女はニコニコと私の労を労い、冷蔵庫からビールを持って来た。私は睡眠薬を盛られる用心をしていたが、目の前で栓を抜いたのを確認する事ができたので、そのビールを有難く頂いた。

そして、話に花が咲き、楽しくお喋りをしていると、今度は「お腹が空いていないか?」とカップラーメンを出してくれた。

私は「何て気が効く子だ」と感心しながらも、またそのラーメンを頂いた。

すると彼女は「疲れたでしょう?」と私を手招きし、膝枕をしてくれるではないか!

宿が決まり緊張感がとけていたこともあり、私は「フィリピンて、何て良いところなんだぁ」と完全にリラックスモードだった。

変わらずニコニコと話を続ける彼女に対し、「この子は天使だぁ〜♡」となんの疑いもなく、膝枕の甘い感触に身を任せて、気持ち良くうとうととしてしまった。。


そして目が覚めると、、

そこは何と、公園だった。。


一年間住み込み旅館で働いて貯めたお金、現金数十万円とトラベラーズチェック約百万円をまんまと抜き取られ、バックパックを抱きしめながら起きたところは小さな公園。

すぐには状況を理解できず、色々と考えを巡らせてみたが、食べたカップラーメンに睡眠薬が盛られていたのだと、ようやく気付く。


そう、あの天使は、、本当は睡眠薬強盗だったのだ。。


可愛い顔して、女は怖い。。

そして、男って本当に馬鹿。。。(笑)


その後、トラベラーズチェックは銀行で再発行してもらいましたが、現金はもちろん帰ってこず。

日本領事館では「犯人を追跡すると消されるかもしれない。」と言われ、泣き寝入りしました(涙)

ちゃんちゃんっ

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