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三日でさえも、未来は未来だ。 #鷲田さんのバトン
古来ふたつの道が交差するところは、魔的な場所とされてきた。
心と体の底をつなぐ「魂」の光景として、ポプラや廃墟(はいきょ)、砂漠と並べ作家が最後にあげたのは、住宅地にある小さな踏切。最終電車が通過した後、世の「必然」と思(おぼ)しきレールにしばし挑むことが許されているかのようにさりげなくそこを横切る人影。死を意識した作家はのちに、「たとえあと一年でも、三日でさえも、未来は未来だ」と書き添えた。随想「魂の光景」から。
2024年4月2日付 朝日新聞
日野啓三さんは、こんな人。
「ポプラ」は、1976年の「ポプラ事件」のことだろうか。
1929年東京生まれの日野は、この時47歳。「第2次朝鮮戦争が起こりかねない」事件だったと言われている。
父親の仕事の関係で幼少期をソウルで過ごし、読売新聞の特派員時代にもソウルに派遣されたことのある日野は、朝鮮半島の歴史とつながっていた。
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「廃墟」はどうだろうか。
1964年にベトナム戦争中のサイゴンに赴任した経験があるためか。
敗戦前後の自身の経験を小説化したこともある日野は、「廃墟」を身近に感じていたのかもしれない。
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「砂漠」は不明。だが、砂以外何も視界に入らない”そこ”は、この世のものであると同時にこの世のものとは思えない場所でもあると感じられただろう。
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最後は「踏切」。
「踏切」と打ち込んだだけで、そら恐ろしくなる。
「住宅地にある小さな踏切は」、安穏とした生活空間に突如として入り込んだ異世界への入り口だ。
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「レール」が「世の必然」を模した存在なら、そこを横切るのは秩序を破壊するに等しい。
晩年の日野は、病との戦いを強いられていた。
1990年 肝臓がん
1997年 膀胱がん
2000年 くも膜下出血
2002年 大腸がんで死去 73歳
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「秩序」通りに生きるなら、死を受け入れるほかない。
やり残したことがあると思うなら、「秩序」を破壊するしかない。
日野が遺したかったものが何であるのかは、わからない。
いや、本当はわかっている。
”やり残したことがあるなら、わずかな時間に賭けてみろ”
死を意識した者だからこそ伝えることのできるメッセージだ。
だが、死を意識していない私たちは、今日と明日が地続きであると何となく思いながら、今を生きている。
私たちは死を意識していない。
つまり、”はじめから多くの時間が与えられている”わけだ。
だから、夢を描ける。
「たとえあと一年でも、三日でさえも、未来は未来だ」
日野と同じように、未来を生きよう。
そして、わずかな「生」を切望した日野を感じながら、
あなたの欲望をこの世で実現しよう。
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